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穴吹史士が書いた記事

AICキャスターclick
2005/06/06

みたびイモムシ茶を論ず
本稿をしたためるに当たって、心中いささか忸怩たるものがないわけではない。同じネタを３週も続けることは、プロの記者として、ちょっと手抜きではないかと。手抜きは、先週もそうだったのだが、手抜きも２週続くとなると、やはり……。

一方で、読者が関心を持っているんだから、何週でも続ければよい、何をかっこうをつけているのだ、というささやきも聞こえる。週刊誌の記者だったころは、いけそうだと感じたら、かさにかかって、同じテーマをうち続け、その結果、社会現象に仕立てたこともあったじゃないか、と。人間、つい甘いささやきの方に耳を傾けるのである。

先々週来、この欄で言及している「苦丁茶」について、興味深い情報が次々と寄せられているのである。

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住所不明のHSさん

「身元不明茶の正体」ですが、「いもむし」という形容でそれとはイメージできなかったのですが、苦丁茶であれば吉祥寺の「祥友」という食材店で買ったことがあります。
たぶん今でも扱っているんではないでしょうか。

アメリカイリノイ州のYIさん

穴吹さんご執心（？）の芋虫茶ですが、私も偶然この時期に手に入れました。
会社の同僚のラオス人のおばさんからたまたま先々週、入手したのです。

彼女は健康食品フリークで（しかもゲテモノ系）、やれ牛蒡をお茶にして飲みたいから日本食料品店で買ってきてくれ、だの干ししいたけを煎じてみるから、だのどこから仕入れたわからない情報にドライブされています。

で先々週。カフェテリアでくつろいでいるはずのおばちゃんが、マグカップ片手に奥歯に歯ブラシの繊維が挟まったかのような渋い表情。

ははーん、こらまた妙なものを試してるんだな、と話を聞くと藁の燃えカスみたいなものを私に見せ、「これやこれ。めちゃマズイでこれ」

ふーん、どれどれ、と葉っぱのにおいをかがしせてもらいましたが無臭。で、今回は何に効くの？と尋ねると「これはな、嬢ちゃん。コレステロールと糖尿病やがな！」

飲んでみ飲んでみ、というので、少し頂戴、というと藁一本だけ。これだけ？と訊いたところそれだけで千人力、みたいなことを言うのです。ただし、マズイったらこの上ないぞ、と脅かされたため、その場では挑戦せずにいたんですが・・・。

で、月曜日の穴吹さんコラム中、他読者の方が紹介されていたサイトに行くとどっかでみた黒い物体が・・・。おばちゃん茶葉をとりだしてよくよく観察すると、これって・・・。

そうです、おばちゃんのくれた茶葉はこの芋虫茶だったのです。芋虫じゃないシェイプだったので先週のコラムではわからなかったんですね。

今日、会社でサイトをプリントアウト、おばちゃんに見せたところ、おおこれこれ！と。どうも中国茶の一種らしいけど、というと、おばちゃんは知らなかった様子でした。

お友達がLAで購入、それをおすそ分けという形でもらったようなのですが、値段を聞いてびっくり。１パウンド（500ｇ弱）で＄７０ドルもした、というではありませんか！ひゃー・・。

効能はとりあえず、体にいいってやつらしいよ、と教えてあげたところ、「そうやろそうやろ。私の弟もこれで１５パウンドもやせたんやで！」とのこと。

ま、おばちゃんはご自身のコレステロールと糖尿病にばっちり、と信じてるようですが、いくらそのお茶飲んでても、お茶うけにピーナッツバタークッキーはないんでないの？と思いましたが・・・。

さて、肝心の私の感想なんですが・・・

ここまで脅かされるとなんだか怖くて手をつけられなくて・・・。

朝飲んで失敗だと、一日が台無しになったらどうしよう、昼間に飲むと、午後、仕事にならなかったらどうしよう、夜は夜で眠れなかったらどうしよう！　週末寝込んで潰れたらどうしよう！

という感じです。どこかに少々（少々です）まずくてもいいので、心配性に効くお茶、ないですかね・・・？

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ふーん、吉祥寺かあ、イリノイ州かあ、ラオス人かあ。イモムシ茶は、人の知らんとこで、きばってるんやなあ（あかん、ラオス人のおばちゃんの大阪弁がついうつってしもた）。

そして、横浜に住む友人で、「ヘンなもの（だけが）好きな」と自称する女性イラストレーターからは、挿絵入りの手紙とともに、現物が送られてきた。

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横浜市のNYさん

中華街のお茶屋３軒に、「身辺の正体不明物」の（画面の）プリントアウト片手に、行って参りました。
「緑苑」にて：店主に、これ捜してるんですと画像を見せると、「はい。はい」と一番上の棚から１個出してくれた。「おーっ!!」。でもこれ、どーみても私の人さし指大。どーやって飲むんだ、コレ。

「茹苦茶」の缶から取りだした人さし指型100グラム1900円。
こより型苦丁茶100グラム2900円（同封したのはコレ。100グラムで３カ月分といわれたが）

「悟空茶荘」にて：新芽だけで作ってあり、苦くないという苦丁茶。店のねーさんは、２片ほどカップに入れて、３～４日はいけるとゆう。30グラム1890円。

「天仁茗茶」にて：ビー玉大の苦丁茶30グラム1500円。白くカビっぽいか。造形的に捨てがたい。
長い苦丁茶50グラム1800円だったような。

長いの１本と２カケ入れて飲んでみた。「うーん。思った以上に苦い」。けど、なんか集中力が高まる気がする。単なる眠気ざましか？　なにより、お茶菓子いらずな苦さだ。

「緑苑」のサイトでネット販売あり。血圧降下、利尿、解毒、解熱、高血糖に効果と。

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けっこう、お値段の張るお茶なんですね。血圧降下は確認できていませんが、利尿には確かに効くようです。え？ただの頻尿？　そーかもしれませんが。ともかく、世の中、知らないことばっかり。裏返せば、すべてがニュース、すべてがネタということで、記者の稼業は安泰。送っていただいたこより型苦丁茶を飲みつつ、記す。