還暦迎えて スペックなお増強中 読書家でもある。本棚には 量子力学や宇宙物理学を 説いた本など多数。 大の犬好きで、ウェブには、 飼い犬のページもあるにある。 パソコンを高座に引っ張り上げたのが20年も昔の84年。まだ世間では、その機械をマイコンと呼んでいた。 「長嶋茂雄とかけて、なんと解く？」「ナ、ナガシマシゲオ……、ナガ」。謎かけを２千種ばかり教え込み、電子音声で答えさせる趣向。つまらないネタを出すと、パソコンをひっぱたいた。そのひっぱたくところがうけていた。だが、敵もさるもの。上野・鈴本の大トリで起動を渋り、15分間、うんともすんともいわず。さすがにお客が怒り出した。 ご隠居に昇格させ、「コ、コレ、ハッツァンヤ」などと掛け合いの相手もさせたが、「手間が多いばかりで、ギャラが上がるわけでなし」。で、本業で組むのは断念。以後、ゲームの自作に走る。 小学生だった息子と娘用に、傘を回したり、スプーンを曲げたりする色物ゲームをBASICでプログラム。専門雑誌にゲーム評を寄稿しながら、「ZAVAS」（サバッシュ）という名作ロールプレーイング・ゲームのシナリオを書くにいたったことは、よく知られている。93年発表の「ZAVASII」は復刻され、シェアウエアとしていまも入手可能だ。 　月に４、５回は秋葉原に通う。この10年間に自宅に導入したパソコンは、自作を含めて９台。現在は、2.80ギガヘルツCPU搭載の「早い、賢い、どっかで手を抜いてる」という注文組み立てマシンを使い倒している。 生まれついての多趣味人間。おまけにデータベース魔。神社の狛犬を眺めて回る「日本参道狛犬研究会」なんてのも主宰、全国１万社の情報を入力済みだ。現在取り組んでいるのは、積み上げると２メートルになるというお気に入りCDのデータベース化。「60過ぎたらＪポップ」がテーマで、「いちばん注目しているのは『野狐禅』。『ケツメイシ』もいいなあ」。12月20日に満60歳になる人の好みとは思えない……。 屈強のパソコンは膨大なファイルを求め、さらに膨大化したファイルはより屈強なパソコンを要求する。悪循環はもう止まらない。 （文と写真・穴吹史士）

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あなぶき・ふみお / ７期天国 / 七福会 mail to seventh heaven office