久しぶりに元野球少年の登場です。
イヤ、去年星野監督が就任した時から、書きたくてウズウズしていたんでありますが、野村監督が就任した時に先走って失敗した例もあり、じっと我慢をしていたという次第。

今年のタイガースの強さについては、テレビでも新聞でもさんざん言われてきたことですから、ここではもう繰り返しません。
ただ、５月３１日、今夜の巨人戦を逆転でものにした・・この試合を見て、野村監督の時にだまされてからずっと慎重に見守ってきた私も、ついに今年の優勝を確信するに至ったのであります。

さて、昨日からの、東京ドームでの巨人との３連戦。
それまでの両チームのゲーム差はすでに８ゲーム。　いかにまだ僅かに２ヶ月たった時点とはいえ、この差はかなり大きい。
しかし、開幕以来、フルメンバーが殆ど全力を出し切ってきたタイガースに比べ、ジャイアンツは、ご承知にように怪我人だらけ。やっと、この３連戦に備えて、清水、元木が復帰、高橋由伸も腰痛を抱えながらも、調子を上げてきた段階。
原監督がぶち上げた、総力戦に持ち込む形がようやく出来かけていたと言えるでしょう。
ここで３連戦を勝ち越すか、あわ良くば３つとも勝つようなことになれば、追撃ムードもグッと盛り上がるというもの。
そこへ、昨日の第一戦は、一方的にムーアを打ち込んでのワンサイドゲームで先勝。



今夜の試合も、１回に早々と２点先取すると途中まではリードを奪い、巨人がかなり優位に見えました。
ところが、立ち上がり悪かった　阪神の先発：下柳が２回以降は立ち直る。
巨人の先発：木佐貫も一歩も譲らない。巨人のバックも好プレーで盛り上げる、というナイスゲームになって行ったのです。
リードされていたタイガースも６回表、矢野のホームランで阪神が追いついて、そこからは一進一退の好ゲーム。　・・・相撲で言えば、がっぷり四つの横綱相撲と言ったところ。

この３連戦で、タイガースとすればそれまでに７勝１敗と、巨人には6つも勝ち越している。　この３連戦で一つでも勝てればそれでいい。もちろん、勝ち越すにこした事はありませんが、３タテを喰らうことさえ避ければよい、という余裕はありました。
　それでも、昨夜負けて、今日また負けて連敗というようなことになると、明日の試合を始める前から心理的にかなり不利・・精神的に追い込まれた状態で今夜一晩過ごさないといけません。　ましてや、ホームを離れて旅の空の下。

一方の巨人にすれば、今夜そのまま勝っていればほぼ思惑通り。銀座で呑む酒も美味かろうというもの。

それほど大事な一戦だったと思います。
今夜、ＴＶを見ながら感じていたことは、「今日の試合を取った方が、今年のペナントレースに勝ち残る！」
ちょっと先走った予想かもしれませんが、・・・



タイガースが勝てば、思惑通りに最低１勝２敗で切り抜けられるし、もしジャイアンツが勝っていれば、このシリーズ３タテの目も出てくる。　８つあったゲーム差が、一気に５ゲームに縮まって、６月以降の戦局が大いに優位になる。

数字の上の話だけではなく、こういう風にがっぷり組んだ力の入った試合を勝つか負けるかで、相手チームを見る目が全然違って来るものなのです。

そこへ、8回の裏に高橋の2点タイムリー２ベースヒットが飛び出して、またまた巨人が2点をリード。
この時点では、今日の試合は負けかなあ､といういやな感じがチラッとしたものです。
ホームチームが8回裏に勝ち越し点を入れるということは、残った9回の表：1イニングさえ抑えたらその試合に勝てるということですから、この時点では巨人が圧倒的に有利。

そして、巨人のピッチャーは予定通り、抑えの切り札：河原が出てきたわけですが、ご存知のように、この河原が、今シーズンは調子が今ひとつ。　とても、昨シーズン大活躍したのと同じピッチャーとは思えないほど、開幕以来よく打たれている。
今夜も、最初からボールが高め、高めに浮いたところをヒットを連ねられて、金本のレフト前ヒットで同点にされ降板。あとは、出てくるピッチャーにタイガース打線が怒涛の集中打を浴びせ、9回だけでなんと11得点。終わってみれば、１４−５という大差で勝ったわけですが、その点差云々よりも、今シーズンのペナントの行方に大きな影響のあるゲームだったと感じました。



負けた巨人にすれば、途中までは、あの緊迫した試合を支配しながら敗れたという脱力感。
それに、がっぷりと四つに組んでいた好ゲームが、終わってみれば、惨めなほどの大敗。
ここでゲーム差を一気に3つ縮めるべきチャンスが、下手をすると、明日も負けて逆にひとつ引き離されかねないピンチになってしまったことなど、ポイントは幾つもあります。

それより何よりも、今年のタイガースは本当に強い、この状態が続けばちょっと掴まえ切れないのではないか､という危惧を、今日の試合でジャイアンツナインが抱き始めたのではないか。
それほど見事な9回表の攻撃。
2回以降、一方的になりかけた流れを引き戻した、下柳の見事な粘りのピッチング・・ピッチャーの好投に応える打撃陣の好調さ。 今シーズン何度も言われているように、故障者が出ても、その代役が必ずそれ以上の働きをしているという層の厚さ。

それにしても、去年と違うところは、巨人にあと一枚の役者不足。・・言うまでもなく、絶対的に頼れる抑えの切り札不足。
せっかく先発ピッチャーが頑張っても、７回、８回に交替すると、中継ぎが打たれて負けてしまう、というパターン続き。今夜の交代もちょっと早すぎたような気がしました。
開幕以来、故障者が続出という苦しいチーム状態。
高給取りが何人も２軍落ちしたまま、という現状では　なかなか５割ラインから浮上できないままズルズル行きそうに懸念されます。



もちろん、阪神タイガースにも死角がないわけではない。
今夜の試合でも何度かあった、大事な場面での送りバントの失敗。
開幕から７連勝していたムーアが突然の乱調で、この間から２試合続けてノックアウト。
エースと頼む井川も、どうも一昨年や去年のような迫力がない、ピリッとしない。
横浜、巨人、広島には大きく勝ち越しているが、中日にはずっと負け越している・・・など、など。

しかし、２位以下のチームが本調子でない今シーズンは、少なくとも去年のような事はないでしょう。
オールスター戦が終わり、夏の高校野球が終わった頃でも、首位争いに残って、我々ファンとしても「六甲颪」を唄いまくる日が続きそうです。

オー、オー、オー、オー、　大阪タイガース、　フレー、フレー、フレー、フレー。
（敢えて、応援歌が出来た当時の歌詞にしました）

2003年5月31日記