「人生の楽園」東吉野編は、予定通り４月１９日に放映されまた。

さて、「木創り塾」の話題に戻るとして、勉強会のメンバーの一人で、三重県との県境付近に広大な杉と檜の山を持っている Ｓさんが作った「高見の郷」が今回の主題です。

Ｓさんは、陸上：１１０ｍハードルの日本代表として東京オリンピックにも参加したアスリート。
１ｍ８０ｃｍ近い長身です。

結婚を機に桜井へ移り、山の管理を生業としてこられたわけですが、近年の国産材木の値下がりと輸入材の攻勢で、せっかく長い時間をかけて育てた材木を切り出すとしても、ヘリを使えば莫大な費用がかかる上に、伐採の後に植林をし、苗木の間の雑草取り、下枝払い、間伐、と手間をかけていたら大赤字で、とてもじゃないがこのまま林業を続けられない・・・数年前に、樹齢１００年を超える檜林を伐採した跡地の利用をどうしたものか・・・吉野にちなんだもので、人を集められる手はないかと考えた時、「吉野を舞台にした義経千本桜という歌舞伎もある」と、導き出した結論が「桜の園」だったという訳です。

三重県との県境に近い高見山の近くに 枝垂れ桜を１０００本集めた桜の園：「高見の郷」を作り、やっと花も咲くようになった、主婦向けの雑誌でも取り上げられるようになったという話を聞き、早速みんなで現地を見に行きました。

時節柄、花はありませんでしたが、数ヘクタールの敷地は一面枝垂れ桜。





去年、満開だった頃の写真です

「花が咲いている時だけというのは勿体ない。花の季節以外にも人を呼べる企画を考えて、村興しの起爆剤にできないか」とディスカッションが始まりました。

現地は、夏は大変涼しく、空一面に降るような星が見える。近所の川では蛍が飛び交い、釣り糸を垂れればアユやイワナなどが釣り放題、という素晴らしいロケーションです。

この環境を生かして、簡易宿泊所を兼ねたログハウスを建てようとか、芸術家を集めてログハウスに住まわせよう、とか意見が出、その方向で話が進みかけていた所へ、講師の二村先生から「歌舞伎界にはパイプがある。千本桜にちなむなら、桜の１本に団十郎の名前を付けてもらおう・・・いっそ、芝居や音楽の演奏が出来る舞台を作ってしまったらどうか、次回までに団十郎に話を持って行ってみようか」という話が飛び出したので、俄然、話が盛り上がってきました。

次の月の例会までには、先生手書きのスケッチも出来上がっていました。

もともと、成田屋（団十郎の屋号）を遡ると役の行者だったと言われているそうで、本人も大峰などへ行ったこともあるし、吉野界隈には興味が深い、と言う。今回の話も、現地の写真と舞台のスケッチを見せて「これをプレゼントしたら、年に２回くらいここで公演してもらえるか」聞いたところ大乗り気で、「やります」と言ってくれた、公演は松竹に委託して、席数がこれくらいしか取れないから値段はこれくらいにしようか、とか、具体的な数字の皮算用も始まっています。

桜は「成田屋桜」、舞台は「成田座」という名前にしよう、とトントン拍子に話は進み、後はスポンサー探しと「とにかく、団十郎本人にいつ現地へ来てもらえるか」と言うところまで来ています。

西暦２０１０年は平城遷都１３００周年とかで、マスコットが物議を醸していますが、こちらもそれに合わせて、何とか２年後には こけら落としの公演にこぎつけたいと言うのが全員の希望です。

と言うことで、４月１８日現在 現地の桜は五分咲き。今週中頃には満開と言われているので、是非現地を尋ねてみてください（口コミで人が集まりだしていて、土日はかなりの混雑らしい。平日がオススメです）。

大阪方面からは、南阪奈道路で桜井まで出るか、名阪で針まで行ったら、現地まであと４０分くらいです。

名古屋方面からだと、松阪から国道１６６号（伊勢街道）で県境の高見トンネルを奈良県側へ入ってすぐの所です。

遠方で「東吉野くんだりまで行けるかい」という方には、来週写した写真をアップするのでご覧下さい。
５月か６月になれば、女性向きの雑誌などにも掲載されるのではないかと思います。