お礼参り
2005年10月21日


昨夜、高野山のお礼参りから帰宅いたしました。

相変わらずの我侭不良遍路は周りに迷惑をかけたお礼参りでした。2年前に結願の後、お礼参りを済ませていない汀里さんから高野山に行くときは同行したいので知らせて欲しいとメールが有りました。そこには九度山からハイキングで高野山に登った助さんに先達を頼むつもりとありました。

元々今夜の夜行バスで発つつもりなのでと同行を願い、その場でメールを返して、助さんに先達依頼の電話連絡。それが騒動の始まりでした。

『なに〜、ほんなら今すぐ発て！夜行バスで来たら大変やで。家に泊まって明日一緒に登ろう。高野山の宿泊は任せろ！　せやけど俺今結婚式や（？！？）。一寸待て、家内探してくるワ』
と何やら大騒ぎ。

助さん、姪御さんの花嫁の父を勤めて結婚式の最中でした。メールの主・汀里さんは、有頂天で花嫁の父に汗をかく助さんから
『俺、今結婚式。Kが来るねん』
と突然電話を受けて何のことやら。
『？？？！！！』
『明日は用事がある。Kとお前が何で結婚？その結婚式がどないした？　訳分らんことを言ってもサッパリ分らん！！！？？？』

その後、
『K！お前と汀里の話は如何なってン？汀里明日来られへんで』
汀里さんには、
『K来る言うてンのに、お前勝手に用事作って冷たい奴っちゃ』
汀里さん訳分らず、
『？？？？すんまへん』

勝手に飲み込んで騒ぐ助さんも助さんですが、怒鳴られた汀里さんも汀里さん。お互い訳分らずKの来訪に大騒ぎ。四国には同行しないが高野山だけは一緒に登ると騒ぐKの山ノ神。
『私、明日出発のつもりなのになんで今から出かけなきゃいかんの？』
と此方も怒りあらわで、娘にアレだコレだと電話で用事を言いつけ、デートをしていたのか誰と一緒だったか分りませんが、
『お父さん、何でお母さん騒いでいるのか知らないがしっかり予定ぐらい教えてコントロールしてよ。何時も迷惑食うのは私なのよ！』
電話で怒られたKは、
『誠に申し訳ございません！』
そんなこんなの大騒ぎの後、助さん宅を目指したのでありました。



助さん宅では一滴の酒も飲めない主さん横目に目出度い夜とあって、ワインだビールだと奥方が出してきて酒盛りが始まりました。助さん夫妻は山ノ神に、
「折角だから明日は一緒に歩こう。エエデ〜」
「足が痛いからムニャムニャ」
「何言うてんね、高野山は歩いて登るモンや」
「主人が上で待ち合わせようと言うからやってきたのにグズグズ」
「一番短いとこ、歩かせてやるからゴチャゴチャ言わんと行こ！　高野山は車やロープウェイで登るもんちゃうで」
にペースを奪われ、しぶしぶ同意。

Kは行脚中は一滴のお酒も口にしていませんでしたが、ワイワイゴチャゴチャの大騒ぎでついついワインやビールなどを口にしてしまい、参拝の前は禁酒と課していた禁を自ら破ってしまったのでありました。

翌日は紀伊藤川から登山開始、それまで降っていた雨も上がり清々しい歩きとなりました。緑の中に突然現れた大門を目にしたときの感激は特別でした。

アーだコーだの珍道中も伽藍の金堂に到着。般若心経を唱えて最初のお礼。そうこうしているうちに16時30分も過ぎて大扉が閉まり始め、本日の参拝はお終い。雨の中、宿泊先に急ぎました。

此処がまた大変。山階の宮家の菩提寺で不動院と言うお寺。こんな凄い所を知っていると言う助さん、先代からの知り合いと言うこともあるのでしょうが、ご住職をまるで子ども扱い。用事を済ませた汀里さんも到着して、一番奥の凄い部屋で夕食を頂戴。飲兵衛達は出てくる精進料理にお酒でドンチャカ。

部屋に戻っても山ノ神やらめっぽう酒好きの奥方も一緒になって空ける事あけること。其の内、お礼参りの二人はまだ足りないと見えて自動販売機のビールを次々と並べ、何時寝たのかも知れず空き缶が10本以上も朝には転がっていたのでした。

お勤めの後、奥の院やら金剛峰寺を案内していただけると言う総務部の主任を務める僧侶が現れ、車で奥の院近くまで連れて行って下さいました。そこから彼の案内で立ち並ぶお堂や金剛峰寺の説明。圧巻は金剛峰寺のVIPルーム（一般には開放されていない昭和天皇皇后両陛下と紀宮様がお泊りになった部屋）。中々拝見出来ないであろう国宝の襖絵の数々を手の触れる距離で見せていただき、その価値も分らないままにもう感激。こんな嬉しいお礼参りになろうとは夢にも思いませんでした。

この日案内下さった僧侶曰く「本日は首脳陣が大挙して比叡山に交流のためお勤めに出かけましたので蛻の殻です。息抜きといっては何ですが案内を買って出てご一緒させて戴きました」とこれも有難いご縁なんでしょうか？

霊山寺でご住職から聞かされた『摩訶』を改めて教えられたように思います。

偶々空き時間があって先達を勤めてくれた助さんの交流の広さ、お礼参りの同行を申し出てくれた汀里さんのタイミング、高野山に魅せられて一人ヤッホー出来たお供の山ノ神。『摩訶』の不思議を感じたお礼参りでした。

その夜はまたまた汀里さん宅にお邪魔して飲み明かしました。山ノ神は西脇市に居る友人宅に嬉しそうに自ら拉致されて、なにやら我侭Kの悪口を言って夜を明かしたようでありました。禁酒を破りこんなに連日連夜飲み明かしたのも久し振りですが、結願の後の祝杯ならばとお大師さんもお許しくださったのでしょう。嬉しく有難い破茶目茶のお礼参りで1年に渡ったKの俄か我侭不良遍路の行脚は無事終了いたしました。

Kのお礼参りは周囲の皆さんには台風の襲来であったはず。それでも心優しい皆さんは文句も言わず付き合って下さいました。皆様に御礼の気持ち一杯であります。
高野山お礼参りの報告まで。

俄か我侭不良遍路・K生