女子学生が来て、「先生、落研の顧問になって下さい。名前だけ貸してくれたらいいですから」という。可愛い笑顔にひかれ、つい二つ返事した。しばらくして、期限付きのこの課題である。

古代ローマの暴君ネロが、円形コロシアムで捕虜や罪人に猛獣をかからせ、興じたという。これにまつわる次の小咄がある。

大観衆の中、その日最後の格闘が始まった。たてがみが立派でとりわけ大きなライオンが檻から放たれ、中央に立つ戦士めがけて突っ走る。ライオンは数飛び前で止まり、きばをむき、吼え、獲物を襲う態勢に入った。観衆がしばし固唾をのむ間に、次の異変が起こった。戦士が近づき何やら耳許に囁くと、猛獣は尻尾をまき飼い猫の如く静かに檻に消えた。あまりの異変に全コロシアムはどよめき、その日のすべてが終わった。係官の問いに戦士は答えた。「人の世界では、ご馳走の後には必ずテーブルスピーチがあるぞ」と囁いたのだと。

何を書くのか定まらず安請け合いを後悔しているとき、この話を想起こした。やはり、私より当のライオン君が賢明であった。

落語は好きである。さらに、このたびの鳥大寄席の大成功と鳥大落研の発展を心から願っている。



時　1991年５月25日（土）６時・26日（日）２時
処　本通りパーキング市民コミュニティセンター
木戸銭　三百円
落研25代目会長　湖山亭はまる