ワールド・トレード・センター
2001年9月17日

今回の事件は大変ショックであった。
この日、遅い夕食後のウォーキング（最近特に腹が出てきたのでむなしい努力中）から帰りニュース・ステーションをつけると真っ先に情報が飛び込んできた。

このビルに旅客機がどう間違っても飛び込むことはなく、すぐにテロだと直感。
このビルにはアメリカ駐在時代からよく出かけ、好きなビル・建物のひとつであった。
伊藤忠商事時代からニューヨークはよく出張していたが、この街は、住んでいたデンバーとはまったく違ったMetropolitanで大好きな街の一つである。

テレビを見ながら、頭の中で必死に情報をまとめているうちに、２機目が激突するシーンを見てなにが起きたのか理解するのに一瞬時間が止まった。

次の瞬間背筋を氷で撫でられたように、寒気が走った。

知人のあの人やこの人はまさか居ないだろうな、居ないでいてくれと一人一人の顔が浮かんできた。

そうするうちに更に信じられない光景が目に飛び込んできた。
あのツインビルが崩れ落ちたのだ。

考えられない、信じられない……。涙が止まらない。

勿論絶対許すことの出来ない卑劣なテロに対する怒りの涙であったと共に、WTCは米国を代表するシンボルであり、このビルの下から見上げた方は分かると思うが、これが崩れ落ちるなどと云うことは絶対に考えられない、いや考えたくない悪夢なのだ。　その非情なる悪夢への恨みの涙であったような気がする。

以前ニューヨーク滞在中はおいしい食事を食べ、ピアノ・バーでひとしきり唄って発散した後、友人と街に出ると、このビルが遠く聳え立つのを見て、「ああ、ここはニューヨークだ！ 俺はがんばってるんだ！」
と一人納得する、そんな象徴的なビルであった。

今映像でこのビルがあったあたりが、ぽっかり穴の空いた空間になっていて、信じられない光景となってしまった。
なにか自分の過去をゴシゴシ消されてゆくようで、おもわず画面を替えてしまう。
それからはこの光景は見ないように努めている。

次に見る時は、現地に立ってしっかりと自分の目で見ようと決めている。
そして自分の心の中でいつも聳え立っていたこのビルが今はもう無いんだ、それをもう一度自分の心に言い聞かせようと思っている。