プレステ西原の印税独占商法 いまをときめくプレイステーション、といっても、２ではなくて、古い方用のだけれど、ゲームソフトが１枚、製作会社から送られてきた。「麻雀鳥頭紀行」という。「崩壊の悲劇から、今、旅がはじまる……」といったキャッチコピーがついているが、要するに西原理恵子雀士とともに、全国の雀荘を遍歴行脚するマージャン・ロールプレーイングである。 シリーズの第２作目であることが、説明書についた西原漫画によってわかる。１作目は売れなかったらしいこともわかる。それにこりて、２作目は、「まわりのすべて人々の権利を無視、印税は西原の１人占めシステム」になっているらしい。「ゼニの花、咲かせましょ」とある。つまり、このゲームに起用されたさまざまなキャラクターのモデルである実在の人物には、１銭のゼニも渡らない仕掛けになっているらしい。 キャラは、40以上、とある。どんな連中が、本来うべかりしモデル料を踏み倒されるのか見てみると、犬とか蛙とか馬の首とかには、まあ払う必要はあるまい……、こじまさん、すえいどん、はせぴょん、光恵ちゃん、コータリン、と西原周辺の悪漢が続き、花田編集長、群さん、綾辻くん、伊集院さんときて、最後に穴吹さん。げっ。 かつて、西原漫画家と一緒に仕事をした際、無断で私のキャラを作られ、漫画のアイデアに窮するたび、他人名義のクレジットカードのように使いまくられた。私という人間を、キャラ通り、根性ねじまがったやつ、と誤解した向きも多く、ひどい迷惑を被ったものだ。 このコラムの冒頭にある似顔が、そのキャラである。以前、「西原作品に似た漫画を使っている。盗作じゃないのか。もし、真作だとすると、ちゃんと掲載料を払っているのか」という詰問の投書を、読者からいただいたことがあるので、説明すると、モデル料＋その時の迷惑料＝永久使用料、というのが法的根拠になっている。 「メディカル漂流記」の執筆を、「原稿料タダ」という条件で、永井明ドクターに依頼したとき、「ね、ね、西原さんに、いつか似顔絵描いてもらえるかなぁ。そんなら、ぼく、タダでも書く」というのがドクターの交換条件だった。「ん、まぁ、ちゃんと原稿を入れていただければ、いつか……、いつかはね」と答えて、そのままにしてある。 「読む読め読めば」の柘なにか堂も、「西原さんの漫画、使わせてもらっていいかなぁ」というので、「いーんじゃない。いちおう手紙でも出しとけば」といって使っているが、読者はきっと、「このひと、本当にパーなんだ」と思うに違いなく、なにか堂が喜んでいるのは不可解。 「大学幕の内」の清水シミケンの西原似顔絵というのもあって、本人はAICで使いたいと希望している。その漫画は、「みたまんま悪代官・清水ノ介」と命名されており、文字通りの悪党面で、私なら名誉毀損でただちに告訴するところだが、本人は気に入っているらしい。不可解。 実は、「ウェブwatch」の植木不等式の西原キャラというのもある。なんでAICの筆者は西原野郎ばっかりなんだ、と問われれば、「さー？」と答えるしかない。 　 　 さて、プレステ「麻雀鳥頭紀行」。私のキャラがどんな役をつけられているのか、とても心配だ。ほかのキャラの使われかたから見て、どこかの府県の雀荘に現れ、麻雀の相手をさせられるらしい。プレイヤーは、まず関東を制覇して、よその地方に出かけるルールになっている。しかし、千葉で「ピーナツ野郎」に負け、茨城でも「納豆野郎」に負け、埼玉で「せんべい野郎」に負けで、関東から脱出できず、私のキャラにはまだ出会えずにいる。

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あなぶき・ふみお / ７期天国 / 七福会 mail to seventh heaven office 画面幅は400ピクセルです。フォントは小で。IE4.0で見るとよく動きます。