新聞記事に使われる場合、個人、会社、国家を問わず、債務不履行に陥る、つまり借金が払えなくなった状態を指すことが多い。銀行や証券会社がばたばた倒れた昨今に似合う言葉である。

最近パソコンにかかわり始めて、この言葉によく出あう。だが、「欠如」や「不在」では、どうしても意味が通らなかった。否定的ではない、もっとましな局面で現れるのだ。 研究社の英和辞典「リーダーズ・プラス」に、ようやく電算用語で「省略時選択」というのを発見した。なんじゃこりゃ。

パソコンは、使う人の目的や好みで、機能の設定を変えられる。特に設定を選ばず、放っておくとそうなってしまう標準的な状態を、デフォルトというらしい。簡単に「初期の設定値」としている解説書もある。

「標準的」にしろ「初期」にしろ、「欠如」や「不在」にどこで結びつくのか。なまじ「債務不履行」が頭にあると、よけい混乱する。

だが、無理のないレベルというか、落ち着くべきところに落ち着いている状態というか、そう考えてみて、ふに落ちた。

ご破算で願いましては。一から出直します。これこそデフォルト。きっぱりしていて、しかも奥が深い言葉ではないか。大みそかにも向くし、元日にも向くし。