私は……、ある。４月にこのAICサイトのデザインを一新したのは、そんな経験が相次いだためでもある。

それ以前のAICサイトは、内部で相互にリンクを張り、また過去のバックナンバーをたどれるようにもなっていて、見かけ以上に組立が複雑だった。私がここを引き継いだのは、昨年の11月だったが、サイトを構築した最初の担当者は、そのときすでに会社を辞めていて、その構成の全貌を教わることができなかった。

その人がたとえまだ会社にいたとしても、私に全貌を教えることはできなかっただろう。思わぬところにマップが埋め込んであり、指マークが現れるので、クリックしてみると、見たこともない大昔のページに飛んで、とっくに死んでしまったはずの記事や画像が転がり出る。最初の担当者さえ、そこにリンクがあることを忘れ、リンク先を書き換えなかったのだ。

「HELP」を読めば、全貌が知れるかもしれないと思い、そうしてみた。しかし、とっくに死んでしまった欄の説明をしていたり、リンクしていたり、HELP自体が、遠縁のおじいさんの死体化していた。

これらおじいさんの死体は、見つけ次第リンクを切って、始末していった。だが、始末しても始末しても、押入の奧から見慣れないつずら箱は現れ、おじいさんの死体が、うーうーうめきながら立ち上がり……。「バイオ・ハザード」である。

サーバーからおじいさんの死体の根本を削除してしまえばいいのに、リンクの全貌が把握できていない以上、「Not　Found」になったり、×印が出るよりはましか、と、そのままにしておいたのも、おじいさんの死体の跋扈を許す結果を招いた。

かくて、おじいさんの死体は、つづら箱に入ったまま、社内のサーバーから各ミラーサーバーへ、AICの更新にともない、毎週毎週、長い旅を続けていたのであった。

サイトのデザインの一新により、遠縁のおじいさんとの腐れ縁は切れた……、と思う、たぶん。

いま、新生AICは読者の一層の支持を得て、規模を拡大、多様化しつつある。今後も新しいページを増設する予定である。見るところ、少し複雑化しすぎてるかな、という気がしないでもない。遠縁じゃなく、近縁のおじいさんの死体が、転がり出ても、もうおかしくはない状態……。「バイオ・ハザード２」の始まり、かな。