宿帳
2009年12月30日
在長春日本語教師Ｍ元記者様
中国人に揉まれて精悍になった
50歳を機に、Ａ紙記者という
ぬるま湯的ポストを擲ち、
中国吉林省の長春に渡って、
現地の大学で日本語教師となった
Ｍ元記者が、「水盂をひとつ見つけたので」と、
暮れも押し迫った日、
わざわざ届けにやってきてくれた。
長春には、昨秋の満州旅行で２泊し、
古玩城２、３カ所を巡って、いくつか買った。
その際、Ｍ記者も同行してくれたのだが、
そのとき訪ねられなかった古玩城を、
地元在住者の利を生かして発見、
当荘主人へのお土産として、入手したのだという。
ありがたいことである。
３日前に帰国したばかりだという。
関東はこの日、冬晴れてはいたが、
最高気温10度Ｃ前後で、
「寒い１日となるでしょう」と
テレビの天気予報が繰り返していた。
しかし、Ｍ元記者は、
「暖かい、暖かい」と連発。
長春は、連日零下25度Ｃの日が続いており、
それから比べると、どこが寒いねん、
ということらしい。
当荘主人も、数年前、
真冬の内モンゴル・オルドス地方で、
街中でダイアモンド・ダストが舞う寒さを
体験したことがあり、10度Ｃの最高気温を、
「寒い１日となるでしょう」という天気予報の表現に、
いささか適正を欠く印象を受けていた。
もっとも病を得てからは、
20度Ｃでも寒く感じるようになったが。
 
左：お土産の青花水盂 右：これもお土産、道教吉凶日めくり
●冬枯れバルコン
遠路の客をもてなすに、
ちょうど冬場とあって、バルコンも
華やかさはなはだ欠ける景色。
光沢美しい竜の鬚と、開花カウントダウンの蝋梅、
狂い咲きの白いリラくらいしか、目につかず。
本来なら、夕食を用意するところであったが、
体調がやや不順だったため、
それも叶わなかった。
年末年始、最高39.6度Ｃの高熱を発して、
一晩中輾転反側する夜もあった。
心身のスイッチが切れた如く、
床から立ち上がる気力さえ失い、
PCを立ち上げるのも億劫、
いただいたメールへの返事もほったらかし、
まして賀状にもいまだ手を
着けられないありさまである。
本稿も本来、旧臘中にアップ
すべきものであったが、
何度かPCの前に座ったものの、
書き出せなかった。
竜の鬚の実が輝く
蝋梅は開花直前
ライラックは狂い咲き
Ｍ元記者の日本語教師としての
生活に触れておくと、
学生は、朝鮮族が多いという。
両親が金持ちで、
箔をつけるために日本語を学んで、
日本に遊学、といったドラ息子、ドラ娘が主流、
と懸念していたそうだが、
実際には、貧しい両親が韓国などに出稼ぎに出て、
その細々とした仕送りで、
つましく学ぶ学生目立つという。
東北３省はもともと日本語教育の先進地で、
国立私立あわせて、
日本語学科を持つ学校が集中しているとか。
とりわけ吉林省は全国に10ばかりある
日本語高等教育の大学のうち、４つがあり、
なかでも吉林大学は、中国で最初に
日本語学科を設けた大学であるという。
Ｍ元記者の学校の日本語主任教授も、
吉林大学出身で、当荘主人らの昨秋のツアーの際、
現地ガイドとして、案内してくれたＣ氏と、
学生寮で同室だったという奇縁。
Ｍ元記者の帰国の手配などに、
助力してくれたそうだ。
そういえば、魏さん以前の何年か、
スルーガイドをお願いしていた
河南省国際旅遊のＰさんも、
確か吉林大学の日本語学科の出だったような気がする。
Ｐさんは、人民解放軍の兵士として、
農作業にいそしんでいたところ、
裏表のない勤勉な働きぶりが
上官の目に止まり、とくに抜擢されて、
大学進学を許されたのだった。
Ｍ元記者には、手元にあった
「東アジア民族史１」（平凡社東洋文庫）
を持って帰ってもらった。
読む時間が自分に残されていれば、読んでみようと、
書棚から引っ張り出しておいた本だが、
そんな時間はもうないかもしれない。
「高句麗史が出ていますね。
まさに吉林省がその中心だったんです。
ありがたくいただきます」
と喜んでくれたのが、嬉しかった。
お決まりの萬祝を着用。
「ほんとに、着るの〜？」
などといっていたが、嬉しそうだった
お客様の声
穴吹さん
昨日は、たいへん楽しいひとときでした。
ありがとうございました。
あの水盂を買った店の写真を送ります。
「シュエイユー？ トエトエ、シュエイユー」
今年もあと数時間を残すばかりとなりました。
よいお年をお迎えください。
Ｍ
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