新年ご挨拶
2010年1月1日
当荘主人長男一家・長女一家・次女
妻子・嫁婿・孫、被り物して一堂に会す
孫左：甘粛省成県の竹製ヘルメット
孫右：河南省開封のニット目だし帽
後列：トルコ製イスラム帽、吉野山修験者用兜布
陝西省西安のイスラム帽、京都製漆塗り烏帽子
前列：吉林省長春の貂毛皮帽
魏広平かぁ、おまえは
朝鮮王朝両班帽
３年前に、大腸癌の肝臓転移が見つかり、
大手術を受けて摘出して以降、
１年後のことは、
考えないようにしてきた。
１年後は、もうこの世にいない
かもしれなかったからだ。
正月が来たら、もう来年は雑煮を
食べることもないだろうと思い、
桜が咲けば、来年は花見が出来ないなと考え、
夏の誕生日には、
これ以上年を重ねることもあるまいと。
それでも、気力、体力は割合充実していて、
取材にも盛んに出かけ、山に登り、
谷を下りといったこともこなしてきた。
しかし、癌の再発転移があり、
１年半くらい前から、抗癌剤の投与を
受けるようになってから、気力、体力ともに、
激しく減退し始めた。
この年末年始は、とくに消耗がひどく、
わけのわからない症状が、次々に現れて、
いまは、１年後どころか、
３カ月先のことも考えないようにしている。
それでも、正月を迎えることができ、
香川県風のあんこ餅の雑煮を
食べられたので、
よしとせねばなるまい。
大地主さんの屋敷林の向こうから
元日の朝日が昇る
西を見れば、電信柱……、
じゃなくてぇ、うっすら富士山。
ど、どこにぃ？
孫が３人いる。筆頭は、
長男家の長女で、小学校１年生。
あとは、２歳と１歳の男の子である。
元日に、妻子、孫、婿嫁の全員が顔を揃えたが、
この日のことを後に記憶しているのは、
孫のうち筆頭者だけであろう。
この子は、２歳から４歳までをボストンで過ごし、
多国籍の子どもたちの間で育ったせいか、
自己主張が強く、自分の好みをはっきり口にして、
それを貫く。冒頭の写真を撮ろうとしたときも、
被り物を着けることを、断固拒否した。
それで、「おじいちゃんのいうこと、
ひとつだけ聞いて」と頼んだところ、
意外にも、受諾してくれたのだった。
う〜ん、対応がおとなである。
家族が一堂に会する機会も、
そう度々はないだろうから、
遺訓めいたことを話しておくつもりだったが、
結局は、孫たちが
ばたばたするのを眺めるだけ。
しかも、その途中で、体調が急に悪化して、
寝込んでしまった。筆頭の孫が、
「おじいいちゃん、だいじょうぶ？」
「もう一回、おじいいちゃんの
いうこと聞いて、っていって」
と、気遣ってくれた。
10人分の新年お箸
長男家の孫２人は、香川県の餡ころ餅雑煮を
なんの抵抗もなく食べる
孫３人のご機嫌を取る爺さま
従兄弟同士仲よくね
  
左：ミニカ好き 中：絵を描くのが好き 右：おしゃぶりが好き
厨房にも興味あり
隠れん坊も好きらしい
なにしてんの（番頭犬）
なんや、消しゴムかいな（番頭犬）
こんなん、どこがおもろいんかなあ（番頭犬）
しょぼん
トランプ好きの一家で、安上がり
お先にひと眠り
当荘来訪者の通過儀礼が、萬祝着用である。
誰が着てもサマになる不思議な衣装だ。
正月には、晴れ着に見える。
長男の長女
長男の妻
長男とその長男
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2009年12月19-20日
当荘主人妹一家・長女婿殿ご両親・長女一家
被り物せず、一堂に会す
正月に先立つ暮れの１日、
妹の一家がやってきた。
姪が婚約したので、
その報告かたがたにという話が、
別の理由もあったと思う。
当荘主人が、子どもたちと妹一家に回覧した
葬儀方針を読んで、
そんなに体調が悪いのかと、
心配してのことである。
その葬儀方針は、以下のようなものである。
まず無宗教で、俗名のまま執り行う。
僧侶も招かないし、従って、
読経も戒名も位牌もなし。
できれば、当荘内に、ごく少数の親族のみが集まり、
友人、知人、旧勤め先に連絡する場合も、
火葬後にする……。
当荘には、父母、亡妻の葬儀や法事を任せている
長いつきあいの僧侶がいるが、
自分のみの特別なケースとして、
その人の了解も得た。
「あなたには、ジャーナリスト魂ということを
多く学ばせてもらったが、
私が霊魂について充分に
お話しできなかったのが残念」といわれた。
  
左から：妹の夫、妹、妹の長女
女にもてる長女家の長男
長女の夫のお母さんも加わり、ますますもてる。犬も雌
妹の夫は万能エンジニア。どんな故障でも自分で直す
えーと、この寸法は……。何でも計測してしまう
バルコニー上空に架かる新月。
金星も見えるはずだが
おなじみ、電柱の向こうに
暮れる富士山
おなじみ、電柱の向こうで
朝日を浴びる富士山
翌朝も気持ちよく晴れ上がって
昼食は大阪名物お好み焼き
いったらきやーす
主人敬白
 新聞に「家族葬」のチラシが入っていたので、資料請求と会員登録をした。前述した通り、無宗教、自宅で近親者のみのひっそりしたものに、と問い合わせると、可能な限り、要望に応じてくれるという。
すぐに死ぬというわけではないだろうが、なにごとも準備は早めにというせっかちな性格ゆえである。女将には、手回しがよすぎると叱られたが、生前葬をする人も多いらしいし、そんな人に比べると、気が早すぎるということもあるまい。当面、なにごともなければ、それはそれでよし。
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