宿帳
2010年1月3日
Ｓ田Ｔ子様
明けまして……と、お屠蘇
何度も書いたことがあるが、
当荘のお雑煮は、
あんこ入りの丸餅を味噌仕立てでいただく。
当荘主人の生まれが香川県で、
その地方独特の雑煮である。
幼少以来、香川とは縁が薄くなった現在も、
母、前妻、娘たちと、連綿と製法が伝えられ、
今回からは、当荘女将もそれに加わった。
「え〜、あんこ入りのお餅でお雑煮ぃ」と、
誰もが初めは気持ち悪がる。
大福餅を味噌汁に溶かし
込んだものを連想するらしい。
確かに気持ち悪く、まずそうだ。
しかし、香川県の雑煮は、
大福の煮込みとは、まるで違う食品である。
友人のＳ田Ｔ子さんは、当荘主人が、
幾度もそう力説するのを聞いて、
興味を持つに至り、このお正月、
試食にやってきた。
当荘女将手製のおせちも並ぶ
お餅は、パナソニックの
餅つき機でしっかり搗く。
あんこは砂糖をごく控えめ
にして、前夜から炊く。
暮れの１日、一家の女性が
総出で、丸める
味噌は、白味噌と
赤味噌を合わせる。
煮干しでダシを取る。
野菜は、大根と人参を
銀杏に切る。
煮立ったところで、
鰹節を大量に振りかける。
餅が硬くなっているときは、
表面を軽く焼いて、
柔らかくする。
前妻によれば、
当荘主人の母の工夫が
入っているという
やっとお目にかかれたわねー
んん
んんんー
おいしぃー
Ｓ田さんは、１椀をぺろりと平らげたあと、
もう１椀を所望、非常に満足されたご様子。
来年もぜひお願いということになりました。
恒例、萬祝着用の儀
お客様の声
おいしかったし、かなり好きです。
ごちそうさまでした。
気分よさそうなとき御連絡ください。
また伺います。
Ｔ子
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