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Noriko's Midnight Journal

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UNCLE KILLER Ⅰ
August 15,1998

タイトルはWEB管理者が独断でつけています

鉄道少年

マンションの管理人さんが、昨年から変わった。新しい人は、60歳位の、ころころとよく太った元気そうなおじさんである。ゼラニウムの手入れに外に出ていると、お掃除をしているおじさんに、声を掛けられ、立ち話になる。

何かで、私の実家が大阪の箕面にある事を話したらしい。ある日、「昨日、TVで箕面の事をやっていましたよ。紅葉がきれいなんですね」と。

子供の頃、鉄道少年だったとかで、阪急電車に乗った事があると言われたので、「阪急電車は、梅田・箕面間を走ったのが最初なんですよ」と、知ったかぶりをする。

N-GAGE

納屋を片づけた時、むかし息子が集めていた N-GAGE（エヌ・ゲージ）という模型がごみ袋１袋分出てきた。箱は埃だらけで、汚い事この上ないが、レ－ル、電車、駅舎など、中味はそっくりしていた。
燃えないごみの日に出そうか、でももったいないな、と考えながら、ふと、おじさんの事を思い出した。

しばらくしておじさんに出会った時、「電車が好きだったのは、子供の時ですよね」と切り出す。で、模型の話を。「取りあえず、持って行って、後で管理人室で広げて見ます」との返事だった。

お小遣い

翌日。「昨日は有り難う御座いました。家に持って帰って、早速組み立てて遊んだんですよ」「えっ？レ－ルなんか全部そろってました？」「ええ、楽しくなっちゃって、お小遣いが貯まったら、もっと買いそろえようかな、なんて思ってるんですよ」「やめて下さいよ。そんな無駄な事！」

ごみみたいな物を差し上げて、失礼だったかなと思っていたのに、喜ばれたのでほっとした。

何日か経って、又出会った。お向かいのマンションと兼業管理人であるおじさんが、私の姿を見つけて、向こうからやって来たのだ。

効用

「昨日、デパ－トへ行って、N-GAGEを買い足したんですよ！」とニコニコしている。「まぁ、もったいない！　奥様に叱られませんでした？」「いやぁ、遊び相手が出来て、喜んでますよ。飯はまだか？風呂は沸いたか？と急かされませんからね」
成る程、そんな効用もあったのか！

おばあちゃんっ子で、物を捨てられない私のケチな根性が、おじさんの少年心を揺り動かす結果になったらしい。丸々と太ったおじさんが、小さな模型に夢中になっている姿を想像しただけで、笑いがこぼれてくるのだった。

みた・のりこ / ７期天国 / 七福会

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