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Noriko's Midnight Journal

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UNCLE KILLER Ⅲ
September 15,1998

タイトルはWEB管理者が独断でつけています

改装

先日、居間の改装をした。改装といっても、壁と天井の紙を変えただけである。この「だけ」が大変だった。

義弟家族が新しいマンションに越し、そのピカピカの部屋を見たものだから、我が家も綺麗にしたくなった。10年前に大掛かりの改装をしているので、全体にはまだまだきれいだが、居間の壁紙の一部が黒ずんできていたので、変えることにしたのだ。
義妹に紹介された内装屋のおじさんが電話をよこした時、外出していて、後から留守電を聞いた。どこか訛りのある木訥とした話し方で、人が良さそうに感じた。

同い年

打ち合わせに来てみると、人が良さそうという印象は確かだったが、ちと、おしゃべり。仕事に関係のない話までするので、なかなか打ち合わせが進まない。そんな無駄話の中から、おじさんは、昭和21年岐阜に生まれ、西宮に住んで関学に通い、今は千葉に住んでいるとわかった。
「あっ、一緒一緒！　同い年！」「私、女学院！」なんて、こちらのおばさんも、つい調子に乗って暴露してしまった。
途中から、夫も部屋から出てきて、参加する。エアコンを外す事になるのなら、ついでに、家中のエアコンの掃除もしてもらうようにと。

整頓下手

私は整理整頓が下手である。おばあちゃんっ子に育ったせいか（人のせいにしてはいけないが）、何でももったいなくて捨てられない（でも、祖母は片づけ上手だった）。その結果、物が貯まる。溢れる。散らかる。
大阪から親兄弟が泊りに来るとなると、慌てて荷物を１つの部屋に押し込んで、ごまかす。荷物が移動するだけなので、またすぐ散らかる。自転車操業だ。
居間だけなら、今までと同じようにごまかせるが、家中のエアコンを掃除するとなると、全部の部屋を見られてしまう。片づけねば!!

面目

それからおじさんが来るまで、片づけの日々が始まった。でも下手なものは下手。とうとう時間切れ。やけくそ気分で来てもらった。
ところが…。おじさんいわく、「この家は確かに物は多いけど（！）、埃が少ないですね。掃除をしないしないって、してるじゃないですか！動かせない家具の後ろは仕方がないけど、可動家具の裏はきれいですよ」と。
そうなのだ。片づけは下手でも、磨き立てる事は結構好きなのである。滅多にしないけれども、するとなると、狂ったように没頭する。
ちょっと前に狂って（！）、ドアに付いた手垢をふいたり、窓の桟を磨いたり、ブラインドを外して洗ったり、台所のファンの掃除もしたばかりだった。少しは面目が立った。

友達気分

私が、壁から除けられた飾り棚の裏を掃除している間、おじさんは、壁紙を貼りながら、おしゃべりをし続ける。
自分の生い立ち、性格、奥さんの事、建設業が今は大変なこと…。そして、私の話し方と態度が、昔の自分のガ－ルフレンドにそっくりだと、繰り返し話す。幼なじみに会ったような気がしますよ、なんて、すっかり友達気分である。
内装の他に、何でも出来る事はやってくれるというので、洗面所やトイレのファンのふたを外して、中を掃除してもらったり、結露防止用のスポンジをはがした跡の、ガラスについたネバネバを拭き取ってもらったり。随分と役に立つおじさんだった。
最初から、料金は決まっているので、この分は入っていない。もっとも、そんなことをさせられるのを見込んだ料金だったかも知れないが。

褒め上手

おじさんは褒め上手だったのだろう。乗せられた私は、業者が入っている間、またまた狂い始め、毎日、いつもの１週間分くらい働いた。
おじさんは「すごい集中力！」と、更におだてる。家族との生活も見ていて、「健全で立派な主婦をしてますよ」と、褒めてもくれた。何処が?!
その後、やり残した仕事があって、又、おじさんがやって来た。家の中に入ってきた途端、おじさんは、「綺麗！」と叫んだのだった。そして、付け加えた。「心を入れ替えましたね！」と。
私は極楽とんぼで、気楽な主婦の生活を送っていると、友達の間で評判なのだ。こんなことを言われたと知ったら、ちゃんとしている主婦は怒るかもしれない。ただ、集中力だけは、皆も認めてくれているのだけれど。
因みに、潔癖症と片づけ上手とは、必ずしも一致しないことをつけ加えておこう。

元々書く事が好きで、昔から筆まめで通っている。ＨＰが開かれて、発表の場ができたので、つい余計な事も書いてしまう。
今回は、黙っていればわからない欠点を、わざわざ披露する形になってしまった。
今後、嫌悪の眼で見られないよう祈っている。

みた・のりこ / ７期天国 / 七福会

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