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Noriko's Midnight Journal

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UNCLE KILLER Ⅳ
September 30,1998

タイトルはWEB管理者が独断でつけています

お米屋

今のマンションに住み始めたのは20年前である。一時、転勤で関西に帰り、再び東京に戻って来たのは、14年前。

越してきてすぐ、近くのお米屋さんに注文をしに行った。「坊ちゃんはＫ君とＴ君でしたね？」とよく覚えていてくれた。

「以前もこちらのお店で取っていましたよね」と念を押すと、おじさん、といっても、私よりは、４、５歳は若いのだが、はちょっと困ったような表情で「いえ」と。

そう言えば、前は違うお店だった。じゃあ何故、双方共に覚えていたのだろう。

武蔵丸

おじさんは、どちらかと言うと「恐い顔」であるが、笑うと目尻が下がり、お相撲さんの武蔵丸関に似ている。顔に似合わず、面白いことばかり言って笑わせる人である。

こちらから次の注文をしないうちに、電話がかかってきた。「米屋ですが、お米の注文は如何でしょうか？」

米びつを見てみると、確かにあまり残っていない。「タイミングがいいですねぇ」と言うと、「勘ピュ－タ－ですよ！」

しかもすぐ持ってきてくれた。「早い！」「宅配のピザみたいでしょ？」

どうやらコンピュ－タ－処理をしていて、そろそろ無くなる頃だと判ったらしい。なかなか商売熱心である。

山口組

越してきた頃は、神戸ナンバ－の車に乗っていた。「三田さん、皆が避けて通るでしょ?!」

東京で生まれ育ったおじさんにとっては、神戸の人は皆、山口組扱いである。

子供が成長期にある間は、食料品の買い出しの量も多く、車や自転車で出掛けることが多かった。

ある日、帰り道で、私の歩いている姿を見たおじさんは、「今日は歩きですか？」と。「ええ」「ほんとですか？　忘れて置いて来ちゃったんじゃないですか？」

実を言うと……。以前に、車で玉川高島屋に行き、歩いて帰ってきてしまったことがあったのだ。見抜かれてる！

Excuse me!

家族を置いて、ロンドンに遊びに行っていた事がある。注文しておいたお米が、留守中に届くはめになった。

「奥さんは？」「ロンドンに行ってるんですよ」── 私の帰宅後、配達に来た時の第一声は「Excuse me!」だった。

友達と集まって、夕方遅くのんびりと帰ってきた時に、また、おじさんに会った。

「ご主人、もう帰っていらっしゃいますよ」「えっ？嘘でしょ？」「いや、ほんと、ほんと！」「私、あなたの言うことは、99％信じていませんから」「もう、新しい奥さんも来ていらっしゃいますよ！」

「良かった！これで（離婚の）条件が揃ったわ！」と、なんとか言い返す。ちょっと理屈に合わない気もするが。

インターネット

奥さんはいつもニコニコとやり取りを聞いているが、「三田さんも負けてませんねぇ。主人と丁々発止とやり合ってる！」と笑っている。だいぶ感化されたようだ。

先日、おじさんに、「お仕事にコンピュ－タ－を使ってらっしゃるでしょ？」と聞いてみた。

「あ、はい」「インタ－ネットもなさるんですか？」「いえ、まだ。やりたいと思ってるんですよ」と。

この分では、まだ先のことらしい。よかった！万一、ＨＰが目に触れて、「恐い顔」なんて書いたのを読まれたら……。

みた・のりこ / ７期天国 / 七福会

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