５５歳の誕生日を迎えて
2002年2月16日

２月１４日に、５５歳の誕生日を迎えた。「四捨五入すれば、６０ね」と、妻は軽やかに言う。

ところで、登山やハイキングに行くと、すれ違う人が、「こんにちは」と、声をかけてくれる。あれは、なぜだろう？と、いまだに思っている。

このあいだ、家の近くの、大阪府立錦織公園をいつものように散歩していた。自然歩道がいくつもあって、いろんな裏道をたどると、２時間くらい歩くことができる。

ポツポツと歩いていると、何か小動物が走った。それを追いかけて、ゆるい崖を駆け上がると、そこに６０歳くらいの男がいて、弁当を食っていた。ビックリしたが、向こうもビックリしたようであった。

「なんだ、こんな所にまで、浮浪者がいるのか」と思って、元の道に駆け下り、歩き始めたのだが、しばらくして、「いや、待てよ、あれは、浮浪者ではないかもしれない。俺の格好も、いい勝負だな」と気がついたのである。

そう思えば、思うほど、われながら、実に地味な格好である。実は、朝から髭も剃っていない。男も、一般には、６０才近くにもなれば、華がない、色気もない、まあ、風采があがらない格好が平気である。きっと、すれ違う人は、「ひょっとして、浮浪者？」と思うこともあろうてなことを考えはじめたのである。

すれ違う人に、にこっと笑って、「こんにちは」と声をかけることは、そういった警戒心を予防するのにいいのかもしれないなどと、冗談半分で、思った次第である。

以前、雑踏の中から聞こえてきた、「ちょっと、汚いおっさん云々」の言葉が気にかかって、本欄に投稿したことがある。あの時は、義憤めいた思いを感じていたのだが、やっぱり、「汚いおっさん」なんやで、わしらは。