第１日(2000/11/04)
香落渓に紅葉を訪ねる

昼食：無名の峠・コンビニおにぎり
晩餐：エクシブ鳥羽・アラゴスタ・フランス料理
宿泊：エクシブ鳥羽・コテージ

2000年の７天ツアーは、11月４日に出発。前夜、リーガグランドからカラオケに回った疲れをはっきり残す面々が、午前９時12分、近鉄上本町発の特急に乗り込む。山口先生、笹田先生、原さん、三田さん、松浦さん、村尾（高岸）さんに、あれ、加藤さんは？　旅行が楽しみで、夜眠られず、その分、朝ぐっすり寝て、集合に間に合いませんでしたとさ。

男は、前西、佐々木、平井、生澤、吉原、森田、黒川、岸本、穴吹。まあ、時間通りに集まったのがとりえか。

名張駅から、ハイカーをごっちゃり詰め込んだバスで、紅葉の香落渓に向かう。「小太郎岩」というバス停で下車。「降ります、降ろしてください」と、満員のハイカーをかき分け車内を進むと、「この人ら、こんなとこで降りはるわ。なんかあるんやろか。なんかあるんですか？」「さー、わたしらも、よう知りませんねん」

結局、ここで降りたのは、うちのグループだけ。停留場の名前の通り、小太郎岩（右の写真背後、幹事長アルバムあり）という岩が見えるほか、なんにもない。

そして、車がぶんぶん走る狭い舗装道路の路肩に身を縮めつつ、バス停ひとつ分、来た道をぞろぞろ歩いて戻る。前西幹事によると、「はよ着きすぎたんで、時間つぶしに歩いてもらおかと思うて。みんな車に轢かれんようにな」とか。

「落合」というところから、赤目に抜けるハイキングコースに取り付いた。けっこう傾斜がある。例によって、みんな勝手放題のいでたちだが、松浦さんの「黒のスーツにエナメルの靴。真珠に純金を配したネックレス」という正装（下の写真）は、とりわけ異彩を放っていた。

それでも登ろうと思えば登れるもので、目的地点である無名の峠になんとか到達。てゆうか、全行程900メートル、芦屋在住の村尾さんが、「うちの裏山より頼りない」という山で、あっという間の出来事でした。

吉原山岳幹事は、寸又峡・沢口山と夕森・奥三界岳のトラウマから、抜け出せないようで、コースは年々、軟弱になってゆくような気がする。ま、いっか。さー、おべんと、おべんと。

●前西シェフの卵焼き
昼食は、上本町駅のampmで仕入れてきたおむすびに鶏のからあげ。持参した手料理の引き立て役として、わざと芸のない食品を選んだ模様。前西幹事は、早朝に起きて自ら調理した出し巻き卵と肉団子を提供、ポイントを獲得した。

前夜、カラオケを回避して、いずこともなく早々と引きあげたのは、料理の仕込みのためだったそうだ。


全員登頂（標高不明）に成功しました
この情勢下、穴吹報道関係者も、ひとりこっそりと飲むつもりで持ってきた「アペラシオン・ポーイヤック・コントローレ」の赤ワイン（上の写真で岸本が持つ紙コップ。下の写真で村尾さんが持つ瓶）を、やむなく提供、いちおう点数を稼ぐ。阪神百貨店のバーゲンで3000円だったから、ま、いっか。

食事場所は、狭い鞍部で、ひっきりなしにハイカーが通る。うちのグループみたいに、４分の１のところで引き返すのではなく、みんなちゃんと赤目まで行くか、赤目からやってきた人たちだ。

ハイカーが通る度に、食事を中断して道をあける。「こんにちわ」と機嫌をとってみるが、相手から返って視線は、「なんや、この人ら、道の真ん中にご飯広げて、もう酔っぱらってるんちゃうん」と冷たい。

「おねえさんら、この中で好きな男、連れて帰ってええよ」と、中年婦人の２人連れに、うんと機嫌をとってみたが、「男はもうええわ」との答え。

「ほなら、ワインなんかは？」「あ、それ、もらうわ」。おいおい、「アペラシオン・ポーイヤック・コントローレ」やで。ま、いっか。3000円やし。

てなことをやってるうちに、生澤が突然脱ぎ始める（下の写真）。ただ、酔っぱらっただけなのか？　それとも、社長業でなんか辛いことでもあったんか？

しかし、この奇矯な振る舞いは、その夜に見せた一段と奇矯な振る舞いの前座でしかなかった。生澤は同室の佐々木を追いかけ回し、同衾を迫ったのである。

佐々木は翌朝、「もうおまえとは口きかへん」と小学校、中学校、高校、大学を通しての同窓ではぐくまれた友情の破棄を宣言。しかし、生澤は「？？？」と、なーんにもおぼえていないのであった。


そんなとこで裸になってはいけません、
生澤くんと……、あ、そっちのキミはよろし
下山も順調。来た道を帰るだけである。ハイキングコースが終わる直前、「もっと楽をしたい」という気持ちが、一行を車が通れる舗装林道に向かわせた。鼻歌まじりで、先へ進むと……。

●と、とつぜん、道がなくなった
舗装林道が、幅５メートルばかりの渓流に洗われていた。前々々夜、台湾でシンガポール航空機を撃墜し、前々夜、近畿地方を水びたしにした熱帯低気圧の仕業であった。流れの深さはふくらはぎまであり、付近に伝い歩きできる飛び石のようなものも見つからない。

というわけで、男は靴と靴下を脱ぎ、素足で徒渉。女性は、男が背負って渡すことに。では、松浦さんからどうぞというのが冒頭の写真。


鞭声粛々河を渡る原さん


鞭声粛々河を渡る三田さん


鞭声粛々河を渡る村尾さん


鞭声粛々……

何の変哲もなかった山行は、この徒渉のおかげでなんとか格好がつき、名張で合流した岡本ともども、また近鉄特急に乗って鳥羽へ。今宵の宿「エクシブ鳥羽」には、寝ぼけた加藤さんと中川が待っており、ようやく全メンバー18人が揃ったのでありました。

奥方のお誕生日、でした 風雪に耐えて半世紀 シャンペンとケーキをはりこむ 夕食は「エクシブ鳥羽」のフランス料理店「アラゴスタ」にて、フルコースをいただくことに。 奇しくもこの日、11月４日は、松浦さんの、何回目かはよく知りませんが、お誕生日でした。 それで正装していらっしゃたのかしら？　え、ちがう？　正装じゃなく、普段着だそうです。 それはともかく、山口先生から、お祝いの詩が贈られました。下に掲げたのがそれです。 題名も内容も、松浦さんのお誕生日とは、あまり関係がないような気もしますが……、ま、いっか。 酔夢 山口格郎 荘子は　夢に胡蝶となったが 私のは　酔夢の世界だ 酔っているのか　素面なのか 不分明な　この頃だ アル中ではと　懸念の声あり 否　アル中は病気だ 私は　適度に　酔っているのだ それにしても　確かに 楽しき酔夢の　この頃だ 2000年11月 鳥羽・伊良湖の旅 ほかのみんなは、モノをプレゼントするしか能がないので、バースデーケーキと「モエ・シャンドン」のシャンペン。といっても、みんなでよってたかって飲み食いし、負担金も平等に、松浦さんに払ってもらうんですけどね。 この宵の見ものは、女性陣のファッションでした。原さん、加藤さんの「ノースリーブ・二の腕姉妹」、デビューです。 三田さん、村尾さんは、「シースルー・薄もの姉妹」とでも、申せばいいでしょうか。フルコースのディナーという場を心得たセンスが光っておりました。 男は、いつも通り、湘南ナンパ・ファッションに、手形取り立てファッション、リストラ相談所通いファッションと、場違いなこと……、ま、いっか。 ひとりTPOに心配りを見せていたのが前西幹事で、渋い色のフリース（右上の写真）を着用。ユニクロで1900円の例のやつです。 前西幹事は、上から下まで、メイド・イン・ユニクロ。総額3800円くらいの衣装代で済ませていました。 おまえの誕生日とちゃうやろが

●２次会……
幹事部屋で開かれた２次会では、有意義な会話が交わされたようだ。詳細は割愛する。よく聞いていなかったので。

潮騒を酒の肴に秋更けつ　格山

月の夜に入江さざめく魚の群れ　霧坊

海暮れて月見に跳ねる鳥羽の雑魚　殷人


中川の高説に聞き惚れる一同


山口先生に注意されて
うなだれる三田さん（右端）

ただ、みんなが声高に語り合うのを聞きながら、黙々と札束を勘定していた原幹事長と前西幹事（下の写真）については言及しておく必要がある。

原幹事長は数十万円の現金を常に携行、気が休まる暇がなかったという。手際よく支払い、電卓たたいて、すぐ帳尻を確かめる２人。

原幹事長は、帰りの新幹線の中でも計算を続け、東京駅に着いたときには、収支がぴったり合った貸借対照表を完成させていた。さすがミセス・デリバティブ、証券界のファースト・レディである。

一生懸命働いている人間がいる一方で、惰眠をむさぼる人間がいる。これが人生の真実である。

もしもし、岡本さん、起きてくださいな。そこ、ぼくの寝床なんだから。あほー、こんなん、早いもん勝ちに決まってるやろ。ははー。

こうやって、よゐこが眠りに就くちょうどその頃、屋外では、惰眠よりもっと罪深いことが繰り広げられていたのだった。波打ち際のベンチ、たいまつの火にぼーっと浮かび上がる男女が誰なのか、また何をしているのか、暗くてよくわからない。


ただ、寄せては返す波の音にリズムを合わせて伝わってくる物音から、そのことを想像するしかない。
ま、いっかぁ〜。