10講

「悪の栄え」

伝道者の書８：１〜１７
2001年9月30日

今回のテロ事件の背景にイスラム世界の根強い反米感情があることは報られている通りである。憎しみ合い、殺し合うという極限の悪が栄えている。それにつれて、民の飢えと病気と心痛という悪もはびこっている。実にこの世の中は悪がはばを利かせている。その悪に対して報いが正当に行なわれるのかは私たち人間には判断できない。

旧約聖書の箴言10章には善と悪の報いと罰が対照的に記されている。「憎しみは争いをひき起こし、愛はすべての背きの罪をおおう」（箴言１０：１２）　しかし、良い行いには良い報い、悪い行いには悪い報いという明白な結果があればよいが、現実は違っている、と「伝道者」は嘆く。「悪者の行いに対する報いを正しい人がその身に受け、正しい人の行いに対する報いを悪者がその身に受けることがある。これもまた、むなしい」（伝道者の書８：１４）　確かに神は時々不公平だと思われることをなさる。

歴史上で世界最大の悪は、「罪なき神の御子を十字架につけたこと」である。十字架につけたのは私たち人類全体である。そして、何とその最大の悪の事実が悪の解決への糸口となったのである。主イエス・キリストの十字架によって悪の根源である罪が赦されることを信じて悔い改めよう。悪に打ち勝つためには先ず私自身が悪より遠ざけられることが必要である。「私たちを試みにあわせず、悪よりお救いください」（マタイ６：１３）と祈る者が増し加えられると、悪は減っていくはずである。

この世に見えるものだけで判断すると、どうして悪が栄えているのか理解できない。イエス・キリストが再び来られたとき、最終的なさばきをされる。それは過去、現在、未来のすべてを見通すことができる真に公平なさばきである。主を信じる者はこの世がどんなに苦悩に満ちていても、死のかなたに永遠のいのちの希望を見て生きることができる。

罪人が、百度悪事を犯しても、
長生きしている。
「伝道者の書」８：１２

Though a sinner do evil a hundred times,
and his days be prolonged,
ECCLESIASTES 8:12


編集者の書：長谷川牧師説教８講「神の怒りに任せよ」に基づいて書かれたAIC記事「復讐するは我にあり」が、読者の反響を呼び、「その牧師の説教を読みたい」という問い合わせも海外から届いています。

また、長谷川牧師は、９月29日に開かれた青松同窓会中部支部総会（22名参加）で講演、その際、上記AIC記事のコピーを配られたそうです。当サイトが、多くの人を結びつけるのに役立っていることを、喜びたいと思います。