２月末、数年ぶりに娘と二人で京都を訪れた。大阪行きの途中下車である。
昼頃、新幹線で京都駅に着いた。とりあえず駅の４００円コインロッカーに二人の荷物３つを詰め込む。そして京都駅観光案内所へ。まわりたいところの交通ルートなど相談した結果、市バス専用一日乗車券（５００円）を購入。

まずは、五条の生麩・湯葉料理の「半兵衛」へ。田楽、揚げ物、炊き合わせなどの３，０００円コースのみ。予約をしていなかったが、幸い平日で混んでなかったせいか、２０分ほど待っただけで案内された。
表は古い民家風だが、中は畳の上にカーペットを敷き、テーブル、椅子が置かれ、和風のインテリアで落ち着いた雰囲気。

ゆったりと昼食を済ませた後はソレッとばかりに、一番遠い洛北の大徳寺へと市バスに乗る。北上して京都府立植物園を通り過ぎ、まだまだと油断したら、二つバス停を過ぎてしまった。あわてて降りて歩いてもどる。その間にも市バスが次から次へ行き交う。何だ、また市バスに乗り直せばよかったと思いながら、ふと粉雪がちらほら舞い降りてくるのに気づいた。ブレザー姿の娘は「寒い、寒い」の連発。私はコートの袖の中に両手を引っ込めて歩く。



「大徳寺」は、真珠庵（開祖一休和尚）、芳春院（前田利家の妻まつの寺）を拝観。非公開文化財特別公開ということでガイドがついてゆっくり見て回る。

さあ、次は「下鴨神社」を目指して市バスに乗車。しかし拝観受付時間を過ぎていた。仕方なく、近くにあった尾形光琳作「紅白梅図屏風」のモデルという紅梅を眺める。すでにあたりは薄暗くなっていたが、濃い桃色の小さな花は満開。そして、その枝振りの素晴らしいこと。しばし見とれた。

最後に目指すは岡崎美術館近くの甘味処へ。ゆっくりお茶をと思ったが、すでに閉店。
それではと、八坂神社を回って祇園の「鍵善」へ。ところがここも喫茶部が営業終了したばかり。かろうじて土産の和菓子だけ買えたが、あきらめきれず、どこか入れないかとあたりをうろつく。

道路向かいの「都路里（つじり）」が営業中。２階までの階段には若い女性ばかり十人ほど並んでいて、その後ろに親子二人続く。
やっと席に落ち着き、あんみつ、ぜんざいを注文。白玉が美味しかった。



すっかりあたりが暗くなったので、祇園の舞妓さんに会えるかと灯のともる花見小路を歩いてみたが、タクシーが頻繁に出入りするだけ。

では京都駅へもどろうと市バスを乗り継いでいく。しかし、最後のバスに乗るとき、うっかり京阪バスに乗ってしまい、２２０円のバス代を払う羽目になる。何とも悔しい。が、一日乗車券をふんだんに使って得したんだからと自分に言い聞かせる。（女は細かいんだ）

駅ビル内のＩ百貨店で夕食用のお弁当を探す。閉店間際のため、１００円、２００円引き。残ってる京料理弁当２種類各１，０００円くらいでゲット。（もっと値切れたかな？）
ロッカーから荷物を取り出して一路大阪へ。
あわただしく、短い半日だった。



ところで余談だが、道中気になるカップル２組に出くわした。
１組は、昼食をとったところで。
女性客ばかりの店内へ、きちっとした身なりの初老の男女が入ってきた。夫婦でお食事かと思ったが、横から聞こえる会話は全くの他人同士。しかし、湯葉の原料の話になって、「あんた、主婦何十年やってんの」と親しげに軽口。どういうお知り合い？

もう一組は、お寺の拝観で。
白のふわふわのコートを着た六十代の玄人さん風女性と、ジャンパー姿にセカンドバッグを抱えた四十くらいの出入りの商売人風男性。ガイドを聞きながら交わす会話は、特に寺に関心がある様子でもない。どういう行きがかりでお寺巡り？　♪なんでだろう〜　なんでだろう〜♪

ま、どうでもいいことながら、後日家人に話すと一言「ミーハーもいい加減に」と言われてしまった。