勿詰難 勿返品
雅虎拍売城
公元2003年12月
古銅水滴
直径11cm 高さ3.5cm
初値5000円→（1入札）→落札 送料640円
奇妙な形にひかれた。茄子をかたどっているいるようにも見え、また水鳥のようにも見える。日本の骨董を扱う売り手の出品なので、あるいは国産かも知れず、だとすると、中国古玩家としては、邪道のそしりを免れない。しかし、この奇抜な造形は、中国の発想と勝手に決める。
実際に触れてみると、細工がていねいでしっかりしている。華奢で手にすっぽり収まる。梨地の肌ざわりもよい。水を入れて垂らすと、その垂れ方が実に美しい。仮に、骨董屋の店頭で見つけても、5000円なら、即買いの物件と勝手に決める。
ただ、底が真っ平らでなく、マイナスの曲率でえぐれている（写真上）。そのために、置くと前後の端っこを支点として、左右に揺れる。なにか考えがあって、そんな造りになっているのだろうか。それとも、たんなる出来損ない？
瑠璃釉六角蝙蝠水盂
銅匙付
直径10cm 高さ６cm
初値3800円→（1入札）→落札 送料840円
ヤフオクをつぶさに観察していると、よく似た物件、ときには全く同じと見えるものが、きびすを接して出品されることがよくある。同じ売り手から出る場合もあるし、別々の売り手、それも国内と中国のお互い縁のなさそうなところから出るときもある。
伝世の骨董で、同じ物が同じ時期に出回る確率は極めて低い。考えられるのは、どちらかが本物で、どちらかがコピー。あるいは、両方ともコピー。どこかで大量に偽造され、古色をつけた後、卸売り業者を通じて、中国と日本の業者に回ってくる。まあ、いちばんありそうなケースである。
この水盂は国内の売り手から入手したが、そっくり同じデザインの水盂が、中国の売り手からも出品されていた。写真では、多少色合いが異なっているように見え、蝙蝠の肩の張りようにわずかな違いがあるようにも見えるが、サイズも同じで、まず同一製品であろう。
 中国出品は、「清代康熙秋葉款筆洗」と謳っている。秋葉というのは、底に見える模様（写真左）のことらしく、「康熙帝は集めた葉」とよくわからない説明。
最初、初値が5000円だか、8000円だかで出ていた。ちょっとひかれたが、中国からの送料を勘案すると割高感があり、見送っていた。ほかの落札者もないまま姿を消し、次に現れたとき、初値が2000円に下がっていた。ただし、送料は2600円。
送料込みの値段では、国内の売り手のものとほぼ同額になるが、中国出品は箱付き、国内出品は匙付き。迷ったあげく、国内を落札した。
しかし、中国の出品にも、心が残り、果たして全く同じ物なのか、それとも違うのか、違うとしたら、どちらが出来がいいのか、そのへんを確かめたく、ええい、中国のも買っちゃえと、そんな捨て鉢な衝動に駆られる。
瑠璃釉蝙蝠饕餮水盂
長径10.5cm 高さ4.9cm
初値1000円→（２入札）→落札1200円 送料945円
最近、蝙蝠が気になっている。もともと、蝠が福に通じるというので、中国では人気のあるデザインだが、荊楚古玩城・武漢で蝙蝠形の水滴を買ったが、契機になった。そんな心理を見越したかのように、このごろヤフオクに蝙蝠がひんぴんと飛び交い始めた。これもそのひとつ。ちなみに、蝙蝠の両脇に見える小さな動物は、饕餮（とうてつ）だそうだ。
これを買った国内の売り手は、ちょっと変わっていて、ほぼ全商品1000円スタート。するすると１万円を超す物件がある一方で、1000円のまま生涯を終える物も。これは、珍しく競売が成り立った物件。最高限度2000円の指し値にしておいたところ、競争相手は、1100円で早々に退散、1200円の落札となった。
で、そっくり同じ物が、その後、上記「六角蝙蝠水盂」の売り手から出品された。初値は3800円。うーん、金額面では、お得な落札ということになるが、全く同じものなのか、それとも違いがあるのか、あるとすれば、どちらが本物で……、と確かめたい衝動。おいおい、そんなコピーばっかりいっぱい集めてどうするねん。だよね〜。
六角の蝙蝠と饕餮添えの蝙蝠は、たまたま同じ日に送られてきた（六角は佐川急便、饕餮添えはペリカン便）。もっさりした量感、釉薬の色調、タバコのヤニの着け具合ともにそっくりで、形は別ながら、同じ偽造工場から生まれた贋物兄弟の趣。衝動の赴くまま行動せず正解？
文人立像水滴
高さ11.4cm
初値1000円→（１入札）→落札 送料945円
これも、先の全品1000円スタートの売り手から入手。競合者が現れず、初値であっさり落札できたが、現物を見ると、まあ1000円でも高いくらいの代物。この売り手の出品パターンには、お土産に毛の生えた程度のしょーもない品物を大量に仕入れるルートを持っているんじゃないかと思わせるところがある。
文人の頭から注水、手に捧げている笏の先から水が出てくる。これもよくあるデザインである。水滴としては扱いやすく実用的。河内あたりに住む書家で、どうしても欲しいという人がいたら、お譲りしてもよい。
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