最近の話。

○月に退職が決まっているサラリーマンＫ氏、連日送別会の予定がギッシリ。集まってくれる皆さんの気持ちがうれしくもあり、その一方では寂しくもあり・・・

まだその２日目のことである。
終電車が間に合うかとそろそろ気になり始めた細君のところへ、同僚から第一報。
「地下鉄の階段から転げ落ち、顔面から血を流しているので救急病院に運ぶところ」だと。住所、氏名は答えているので意識はあるらしい。
さあ大変！　細君おろおろしながら、入院するかもしれないと着替えなどの荷造りをして、真夜中タクシーを走らせた。

近郊のＹ市から都心まで約４０分。着いたところは立派な聖○○病院。その救急治療室の片隅にＫ氏は横たわっていた。
額はタオルを折りたたんだかのような分厚いガーゼですっぽりおおわれ、口元は血で赤黒く、顔はアンパンマンのように腫れ上がっていた。すでに額９針、唇２針縫合。

ＣＴ検査の結果脳に異常なしということで、即帰宅を促される。破傷風予防注射や、頭などを打った後遺症の注意書きを受け取り、夜間受付で診療費の内金を支払って、再びタクシーを拾い帰宅。すでに明け方３時半を回っていた。
往復タクシー代４万５千円（ハイウェイ料金含む）。



それから２日間、事故の影響からか、食事とトイレ以外はずっと眠り続ける。
４、５日でようやく顔の腫れが引いてからは体調が回復してきたらしい。手足の打撲痛に顔をしかめながらも徐々に普段の日常生活に戻った。

やっと最後の出勤日に出社。さかんに傷跡を恥ずかしがると、周りから、そんなに今まで美貌が売り物だったのかと冷やかされた。
そう言えば、額と口元を怪我したが、鼻は鼻血を出しただけで骨は折れていない。Ｋ氏は一体どんな顔をしているのやら・・・

送別会で怪我をする話は以前にも社内であったらしく、マスクで傷を隠して出社してきたお方もあったよう。Ｋ氏は、おそらく後世社内で語り継がれる忘れられない人物となるのでは？

余談。
夜遅い電車に乗ると酔っぱらいに出会う。たいてい中高年のサラリーマン。ホームや階段でふーらふら、ふーらふら。
Ｋ氏のように階段で前につんのめり、トットットッと駆け下りてしまった人を見たことがある。踊り場で危うく転倒するところを幸いストンと座り込む姿勢になり、そのまますーっと前へスライディングして止まった。このときは惨劇を見ないですんだけど。

いつも思う、中高年の皆さん、本当に飲み過ぎには気をつけてねって。