チングウ酔桃さん
2002年５月21日

あのころわたしたちは何を話していたんでしょうか。わたしにも全く記憶にございません。あなたのボート焼けで真っ黒な顔　腕とおみ足は記憶に残っているんですが。

夜中に確かに出てゆきました。あなたたちの飲み代はおそらく下宿の向かいのKからせしめたのだろう。かれは社会人でボーナスが出る毎にわたしに一部をくれて「俺は行けないから、山にいってきたら」と恵んでくれていた。わたしもいつボーナスが出るのと催促したりもした。そんな時代でした。

比良の釈迦岳に登ろうとこの５月の連休、同級生のS君の琵琶湖の別荘を借りた。たまたまKからメールが来たので、来るかと返事を出したら、やって来た。昼来て夜に帰ったS夫婦もいれて１０何人で騒ぎました。Kは相変わらず優しかった。山では格さんを気遣って先頭を歩いてくれた。

でもどうして酔桃たちはわたしに連絡がついたのか？　酒飲みの執念？　わたしも普通の学生で電話なんて代物はもっているはずもない。下宿のおばさんが怒って取り次いでくれたのでしょう。

Yは年中かれの住むところより少しは広かったわたしの下宿に、酔っぱらったクラブの後輩を連れて夜な夜な校歌を歌いながら現れた。おばさんは「佐々木さん静かにしてください」と金切り声でヒステられた。ついにはノイローゼ気味になり夜になると早稲田大学校歌の亡霊に悩まされたとおっしゃていた。

「あなたが来るまでは、静かな下宿でした」と、でも可愛がってくれました。学生６年目位に亡くなられたときには、一人娘が下宿先は変わっていたわたしらに急を伝えわたしらが葬式の手伝いをした。

１０年ぐらいたって娘は下宿を潰すとき何人かを集めてお別れ会を開いた。からっぽの部屋のかべをほじくったり窓ガラスを割ったりもした。その娘、キャンデイキャンデイの原作者になっていました。

ここまで書いてたら酔桃さんのこといくつか思い出してきました。

彼氏がいて手袋かマフラーかそんなものを編んでいると、なんでこいつがと、呆れて聞いていた。学生運動っぽいのをしていて、クラスのみんなが始めは抵抗していたが、日和ってゆきよったと憤慨、わたしは一人でもやると怪気炎。助山も機動隊に後ろのほうから石を投げたことはあるが、学校封鎖になるとさっさと山に行っていた。そんな酔桃を、ごっつい奴やなーとYと感心していた。

旧い旧い話です、でももう経験できない。
酔桃さんこれからもチングウでいましょう。
よろしく。