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Archives of Midnight Journal From The Geranium House |
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MOTHER-IN-LAW March 21,1999 題名は編集者が勝手につけています |
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最近、新聞に「長男の嫁」という特集記事が載っている。大抵は嫁の立場からの不満。同居して、他人同士の女が２人同じ家の中にいる葛藤、お年寄りとしての舅姑の世話の苦労、などなど…。 反対に、姑としての言い分もあるだろう。想像するだけでも大変だけれど、実際にその立場にある人にとっては、切実な問題だと思う。 私は現在、両親と姑が健在なので、いつかは親の面倒を見ることになるだろうと思っている。 実を言うと、私も一応（！）「長男の嫁」である。夫は４人兄弟のばりばりの長男。しかしながら、私は極めてイレギュラ−な「長男の嫁」だろう。 |
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結婚した当初は、夫の実家から角を曲がっただけという至近距離にある借家に住んでいた。週に２度くらいは、お昼御飯を一緒にどう？と誘われ、実家に通った。 １年も経たないうちに、いずれ子供が出来たら大変だろうから、同居をしないかという話が義母から出た。舅は、もしそうなら、台所も別に作るからとの提案。 夫は私に気遣って、反対した。その頃から能天気な私は、すぐさま承諾。台所の増設も断った。 同居が始まると、まだ初々しかった（？）私は、少しは気を遣ったせいか、日に日に痩せ、150cm余りの身長しかないとはいえ、37kgまで体重が落ち、自動扉の前に立っても、トントンと飛び上がらなければドアが開かないほどになった。 ２人で暮らしていた時のように、夫が出張して食事の支度が要らないという日はなくなり、お風呂も皆が入り終わるまで待った。気を遣ったと言っても、この程度なのに。 |
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子供が出来てからは、義母が大変な子供好きで、よく面倒を見てくれた。食事を一緒に作っても、先に食べなさいと言ってくれる人だった。 １年後には、近くのマンションに移ったが、商店街に行く途中に実家があるので、必ず子供を預けて行った。そうするように勧めてくれたからである。 近所の人達に、いつまでも独身みたいに動けていいわね、と言われた。「ス−プの冷めない距離にあって、別居」という恵まれた条件になったのだ。 次男の生まれる１カ月前から、長男は義母の元に預け、親の私が顔を忘れられないように毎日実家に通った。 出産時に、自分の実家でなく、夫の実家に世話になる人も 珍しいと言われたが。「遠くの母より近くの義母」である。私の家に義母が遊びに来ることもあったが、子供達のことでは本当に世話になった。 |
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私は今東京に住んでいるが、帰省するとお客様扱い。さっそくお茶を入れてくれる。 義妹達も集まってくれ、率先していろいろしてくれる。私は一緒になにかしていればいいだけで、「ねばならぬ」という苦労はない。 出来の悪い「長男の嫁」なので、義妹達はライバル意識も持たずに済んでいるのでは？ 義妹孝行でもあるのだ！ 自分の実家に帰ろうと、関西の友達と約束しようと、私の都合で決めて問題がない。有り難いことである。 震災の直前の12月、舅が癌で他界。以来、一人暮らしをしている義母を囲んで、いつの間にか嫁姑旅行なるものが定着した。 義母は、よく歩き、よく食べ、よく笑う。男の子ばかり育ててきたせいか、洋服には無頓着だ。出掛ける前には、それでは色が合わない、とか、スカ−フはこう結ぶとか、私達が寄ってたかってチェックを入れる。けなされても、ころころと笑っている。 旅行中の食事代は義母がもってくれる。私達が散々よい思いをして帰ってくると、義母は「お世話になりました。足が遅くて悪いわねぇ。私が居なければ、もっと沢山見られたでしょうに」と。年を取って、益々丸くなってきた義母である。 |
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近くにいる時は、よく訪ね、東京に来てからは、手紙、ファックス、電話など頻繁に連絡を取っている。これだけが私の取り柄（？）。義妹達も、紀子さんの筆まめには感心する、見習わなきゃ、と言ってくれる。 昔は同居して私が痩せたが、今後同居することになれば、母の方が痩せるのでは？と思っている、ずうずうしくなった「長男の嫁」である。 |
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