私の陶芸仲間（40〜50才代の女性たち）がお茶を飲みながらする話で、何回やっても盛り上がる話題がいくつかあります。

まず、昨今の児童虐待や、保険金目当てにわが子を殺す親など、信じられない「イマドキの親」の話。

次に、「亭主を見送った後どうするか」の話。「やっぱ、気のあった友達が近くに住んで楽しく暮らしたいよねえ。前は海、後ろは山で、活断層が走ってないとこで、ショッピングモールやテニスコートやプールが近くにあって、陶芸の共同窯も作りたいしねえ」……等々、とどまるところを知らず、盛り上がります。
（誰一人として、自分の方がご亭主より早く逝くかもしれないとは夢にも考えていないところがオソロシイ）

もう一つは、「誰かのために自分の命を差し出せるか」という話。

心臓移植など、いくつかのバージョンがあるのですが、中でもみんなの好きなのは「難破船・救命ブイ」バージョン。

もし、家族で乗っていた船が難破して、海中に放り出された時に、一人用の救命ブイが一個しかない。どうする？　という設定で。

「自分の子どもがブイにつかまりに来たら、ワタシは即座にブイを譲って手を離すわ。＊＊ちゃん、元気でね、幸せに暮らすんやで〜、お母さんは空から、いつもあんたを見守っているよ〜、と言いながら波間に消えていく私……」、一人が思い入れたっぷりにそう言うと、聞いている全員が「そうやねえ、絶対に、そうする！」「今すぐにでもそうする！」と、異議なし、異議なしの熱い雰囲気に。



「亭主だったら？うーん、微妙やねェ。3日ぐらい考えさせてほしいとこやね」
「ワタシ、亭主がブイにつかまりに来ても、絶〜〜対にブイから手エ離さへんよ！」
「そうや、言うたるねん。あんたの方が、3歳も年上やし、男やねんから、潔くあきらめて手エ離して泳いで行き！　ハイハイ、はよ、手エ離さんかいな。ほな、さいならーー」

そや、そや、キャハ、キャハ、キャハと後は高笑いの中で、誰が何を言ってるのか判別不能状態に。

なんで、女房子供のために汗水たらして働いているご亭主がたが、こんな扱いを受けるのでしょうかね？　悲惨なものですわ。ま、男の人たちも飲んだら、「バレずに女房を殺す方法」とかいう話題で盛り上がっているのかもしれないから、オアイコかも……。（それにしてもアホなこと話している私たちです）

ちなみに、この女友達連中はみんな、「惚れたハレタ」のスッタモンダの末に結婚した人ばかりなんですがね。中でも双方の親戚全部を敵に回して、それこそ「生きるの、死ぬの」で一緒になったKｍさんの駆け落ち話はみんなが知っています。で、そのＫｍさんにみんなが質問。

「Ｋｍちゃんとこなんか、今でも愛ある夫婦なんやろ？」
「え？愛？　そんなもん、とっくの昔に無いよ。まァ、情はあるけどね」と、Ｋｍさん。
その後、ひとしきり、みんなで「愛」と「情」についてカンカンガクガク。

「愛というのは、やっぱり、そのために自分の生命をあげてもエエということやろねえ。実際、ホレタハレタやってた頃は、ダンナにもそう思えたもの」

「情というのは、そこまでやない。まあ、忍びずの心というか、惻隠の情というか、一般的な『人類愛』というか……ダンナが熱出してたら、一回ぐらいは頭を冷やしてやろか、という気持。あるいは、ダンナが仕事のストレスで鬱病・休職になっているのに、近所の体裁が悪いから、と弁当持たせてどこかへ追い出すようなことはしないで、家でゆっくりさせてあげよか、と……そういう気持」

で、その日の「お茶会」の結論：
われわれ中年夫婦としては、「愛など無いが情なら少し……」、これで十分ちゃうか、ということでした。深く納得。