21講

「飼葉おけの主」

ルカ２：１〜９
2001年12月16日

主イエスの誕生は作り話ではない歴史的事実。ローマ皇帝アウグスト（BC27〜AD14在位）の時代に住民登録があった。ヨセフはダビデ王の家系であったので、住んでいたナザレから身重のマリヤと共にはるばる１００キロ以上の道のりを歩いてベツレヘムに入った。　（ルカ２：１〜５）

「マリヤは月が満ちて男子の初子を産んだ。それで、布にくるんで、飼葉おけに寝かせた。宿屋には彼らのいる場所がなかったからである」（ルカ２：７）　当時の宿屋（ほとんどが民家を貸していた）は、二階が宿泊用、一階は家畜の小屋になっていた。主イエスは「馬小屋」で生まれたことが定説になっているが、当時の「馬」は軍事専用であったので文字通りの「馬小屋」とは考えにくい。ヨセフとマリヤは貧しかったこともあって、生まれたばかりの主イエスを「飼葉おけ」に寝かさざるを得なかったのである。しかし、この聖書の短い記述から主イエスは優しい両親に見守られていたことがわかる。

神の御子であり、最も高いところにおられた方が、貧しい一処女から、家畜小屋で生まれた。そして、世の人と同じ生活をし、苦痛のうちに十字架上で死んで行ったという事実。栄光の絶頂から貧しさと最低の地位にまで落ちた。それは何のためであったか。「あなたがたは、私たちの主イエス・キリストの恵みを知っています。すなわち、主は富んでおられたのに、あなたがたのために貧しくなられました。それは、あなたがたが、キリストの貧しさによって富む者となるためです」（２コリント８：９）　「富む者となる」とは、私たちその主を信じる者たちは神の子どもとされて、いずれ「飼葉おけ」ならぬ「天の大邸宅」に住んでそこで永遠に休むことができるということなのである。

主イエスは絢爛豪華な宮殿で生まれたのではない。人から栄誉を与えられて世を去ったのでもない。降誕の預言から始まり、貧しい降誕物語、最も貧しい十字架物語、復活物語に至るまで、父なる神は遠大なシナリオを書かれ、その通りに実行されたのである。この私の救いのために。

あなたは女の中の祝福された方。
あなたの胎の実も祝福されています。
「ルカの福音書」１：４２

Blessed art thou among wemen,
and blessed is the fruit of thy womb.
ST.LUKE 1:42