ある五月晴れの昼下がりのことでした。
買い物に行こうとスーパーに向かって自転車をゆっくり走らせていました。すると後ろから、
「ちょっとお聞きしたいんですがー」
と原付バイクの若いお巡りさんが。
まさかお巡りさんが私に道でも聞くんじゃないよねと、不審に思いながら自転車を止めました。

「前輪の鍵が壊れてないんですね」
えっ、こんな事違反になるのかしらと思いながら、キーを全部無くしたので取り付けられてる錠を外してチェーン錠に変えたことを話しました。

「（この自転車は）防犯登録をしてあるので、確認のため問い合わせますから。お名前は？」
何だ、自転車泥棒に疑われてるんじゃないかと少しムッとし、車体に書かれてる名前を指さしました。

結局何の問題もないことがわかり、結構ですと言って彼は去っていきました。

そのあと私は考え込んでしまいました。
私のどこが自転車泥棒に見えたの？　帽子を目深にかぶったジャンパー姿。しかしこのときは花粉症用マスクはしていなかったけど。（マスクしてたら正に怪しい！）。自転車も拾ってきたようなボロではないしー。

やっと私なりの結論に達しました。
彼は新米のお巡りさん。きっと職務質問の練習しようと機会をうかがってたんだ。そこへとろい感じのオバさん。これなら多少失礼な事があっても反撃はされないだろうと私を呼び止めた？

帰ってから、職務質問されたことを家族に話したら、
「どうせ自転車汚かったんだろう」
「怪しいオジさんに見えたんじゃないか」
とさんざんでした。