ここ２、３年のあいだに、私の友達の息子さんたちがバタバタと結婚して、友達も相次いで「シュウトメ」になりました。

彼女らはみんな、オヨメサンの悪口など言ってるヒマがあったら自分が遊んでいたい人ばかりなので、彼女らから「ヨメサンの陰口」などは一切聞こえてこないのですが、時折「シュウトメの心得」というか、武士道ならぬ「シュウトメ道」に類した話がチラチラと漏れ聞こえてくるのです。

そんな時、結婚どころか、いつまでも夢を追ってウロウロしている息子の母親たる私は、スミッコで小さくなって、「シュウトメ予備軍の補欠」といった感じで、みんなの高説を謹聴しているのです。

「言うといたげるけどね、息子のオヨメサンになる人に、期待とか希望とか、そういうものを一切持ったらあかんよ。」（フーン・・）

「そうそう。まったく違う環境、価値観で育った人やからね、１００パーセント自分の思い通りの娘さんがくるはずないもん。多くを望んでも無理。箸にも棒にもかからへんという、いわゆるハシボウヨメでなかったらエエとせんならん」（ヘー、そんなもんですか・・）

「そうねえ、『シュウトメ門を過ぎる者はあらゆる望みを捨てよ』、まさにこれヨ！」（エッ！　そ、そんな門があるんですか？！　なんか、怖そうやなぁ・・）

「まぁ、見ザル、聞かザル、言わザルが一番！　見たらハラが立って、口も出したくなるからね・・」

「まあね、オヨメチャマでもオヨメサマでも困るしね！」（ん？　ん？）

ここで私がおずおずと基礎的な質問。「あのー、オヨメチャマとオヨメサマの意味がようわからんのやけど・・」
（何でそんなことがわからへんのや、という顔で友達が解説してくれました）

「あのね、オヨメチャマというのは、幼稚で可愛い子ぶってて、アタシ、ワカンナーイなどと言っておれば、自分の無教養を隠せると思っているオヨメサン」（きついなー、やっぱり！）

「オヨメサマというのはね、高学歴、高キャリア、高収入、いい実家等々を鼻にかけて、ダンナの家をハナから見下しておるオヨメサン」（はーーっ。そういうのもあるんですか・・？）



そこで私が率直な感想をひとつ。

「私はね、自分の息子のオヨメサンはオヨメチャマでもオヨメサマでも何でもエエ、息子が選んだのであればそれでいい、と思うんよ。それこそいかなる期待も持ってない。顔が悪くても、頭が悪くても、やせてても太ってても何でもエエ（顔かたちなんか10日で慣れる！）。料理が下手でも、ひどい保存料入りの食べ物を息子に食べさせても仕方がない、合成洗剤を使って息子にまた湿疹ができてもあきらめます。ただひとつのことだけしてくれたらいい。息子がへこたれている時、例えば仕事上の失敗で左遷されたり、失業したり、病気になって長期療養が必要になったり、そんな時に、黙って優しく息子の傍に寄り添って俄然がんばってくれる人がいいナ。『あなたは何も心配しなくていいよ。私があなたの分も働くし、ゆっくり養生していてね。家も洋服もなんにも要らない。オンボロアパートの一室で、安物の服を着ていても家族が楽しく暮らせたら、私はそれでシアワセです』と言ってくれる人がいい・・」
と、私がいい終わらないうちに、居合わせたみんなに、せせら笑われボロクソに言われました。

「何言ってるの？！　それこそが一番の高望みでしょ！　イマドキそんないい人がいたら息子じゃなくて私がオヨメサンにもらいたいわ」

いやはや、シュウトメ道も、なかなかに深く窮めがたい道ではあるようで、私は今ひたすらビビっているのです。

でも、もし私が「シュウトメ」になったアカツキには、とにかくオヨメサンと楽しくやりたいなあ。　禁じられても、やはり、そこはかとない期待や希望を抱いてしまうのです・・。

いいよねえ、一緒に旅行したりお酒を飲みに行ったり（もちろん全〜部、私のおごり！）、私が作った陶器をあげたり・・なんて夢をみてしまって・・。

こんな夢をみているとアタマ打つかもね。

「お義母さま、せっかくですけど、わたくし、食器はリチャード・ジノリしか使いませんの」とか言われたりして。（エーン！！　そんなこと言うヨメサンは、やっぱり、どついたらなあかん！）