請勿詰難 請勿返品
雅虎拍売城
公元2005年４月
タンカ特集
銀器附身蔵佛
伝清 縦12cm 横８cm
初値8000円→落札 送料込み
なにやってんだ！ と思われるかもしれない。ヤフオクは足を洗ったはずじゃないのか、と。まあ、国内の業者をぽつぽつ相手にするのはいいとして、上海の業者には、じゅうぶん煮え湯を飲まされたのじゃなかったのか、と。まったくその通りである。返す言葉もない。
この業者は、開店早々で、応札したとき、まだ１件も成約がなかった。上海の業者の場合、名前を変えて新装開店ということがよくあるが。いきなり500点ばかり出品、どれもこれも？？？という品物ばかり。ただ１点、これは本物かと。
ねんねこのような綿入れのカバーにくるまれているところ（写真上）が、本物らしく見えた。丸い金属ボタンで上部を止め、開け閉めするようになっている（写真下）。贋物もここまで、念を入れたら、贋物とは言えなくなるのではないかとも思う。
携帯用のこの種の厨子をチベットでは「ガウ」というらしい。中国語では、標題のようになるのか、こんな名前で出品されていた。北京で同様のガウが、日本円で３万円前後するのを見てきたばかりだったので、送料込みで8000円なら安い、と思ってしまった。で、競争相手も現れないまま、落札。
 上海から届いた現物を子細に点検してみると、本体は銀とはいうものの、極めて品位が低く、また肉薄で造りも粗雑。北京で３万円前後するガウより安物であることは否めない。
ガラスの小窓からのぞいていた本尊は泥塑で、造りに精密さは欠けているが、愛嬌があるところ（写真左）をよしとすべきか。
それより、詰め物の薄い布に注目。ねずみ色をしているのは、もとからそんな色だったのか、経年による変色か不明ながら、一面に仏像の線描と経文らしいチベット文字の刷り込みがあり、実用に供せられていた本物と判断する最終的な決め手になった。
なにごともお勉強ということで……
チベットタンカ
「緑ターラー」
伝18世紀 縦7.8cm 横6.5cm
初値1000円→２入札→落札1100円
送料他の１点と同梱で500円
 
小ぶりの布製タンカを数点ずつ断続的に出品している国内の業者がある。1000円スタートで入札しやすく、競争相手も２、３人しかいないようなので、ちょくちょく応札しているうち、けっこうたくさん落札してしまった。以下に続くタンカは、すべてその業者から入手したものである。
緑ターラーは観音菩薩の左目の涙から生まれた女神だという。右目から生まれた白ターラーという姉貴分ともども、衆生に人気が高いらしい。呼和浩特で買ったタンカにもそれらしいものが含まれていた。呼和浩特の額縁に詰め替えてみると……（写真右）。
チベットタンカ
「ヴァジュラバイラヴァ」
伝18世紀 縦6.9cm 横5.8cm
初値1000円→落札
送料他の１点と同梱
 
ヴァジュラバイラヴァは、水牛の化身だそうだ。この像は角がついているので、一応それに比定した。妃を抱いた媾合型がふつうだともいうが、これは女っ気抜き。「別名ヤマーンタカ」とする説明があるかと思うと、「ヤマーンタカはドルジェジグジュ」とするものがあり、なにがなんだかわからない。
畏怖金剛と訳されているかと思うと、日本の密教でいう大威徳明王に当たると解説するものもあった。この世界の難しいところであろう。呼和浩特で買ったタンカの額に詰め替えた（写真右）ところ、なんかサマになって見えた。
チベットタンカ
「マハーカーラ」
伝18世紀 縦8.2cm 横6.3cm
初値1000円→５入札→落札1700円
送料他の２点と同梱で80円
チベットタンカでポピュラーな六臂のマハーカーラである。マハーは「大」で、カーラは「黒」とかで、日本に来て大黒天となった。全然かっこうが違うということも含めて、わりとよく知られている話である。
チベットタンカ
「マハーカーラ」
伝18世紀 縦5.5cm 横4.5cm
初値1000円→７入札→落札2000円
送料他の２点と同梱で80円
上掲のマハーカーラとほぼ同じスタイルであるが、ふたまわりほど小さく、描画の芸術性も劣る。だが、対抗馬が現れて、少したたき合い、結果的にやや高い買い物になってしまった。反省。
チベットタンカ
「ベクツ」
伝18世紀 縦5.8cm 横5.2cm
初値1000円→落札
送料他の２点と同梱
ベクツというのが何なのか、実はわからない。googleで検索してもヒットしない。それをあえてベクツとしたのは、同じ出品者の別の商品で、これとよく似た図像をそう名付けていたからである。やはり類似の商品で「赤いマハーカーラ」とされているものがあったので、それかもしれない。
チベットタンカ
「ベクツ」
伝18世紀 縦5.1cm 横４cm
初値1000円→２入札→落札1300円
送料他の２点と同梱
 
上掲がベクツならこれもベクツであろう。上掲が赤いマハーカーラなら、これも赤いマハーカーラ。依然として、真相不明。呼和浩特で買ったタンカの中から、サイズが合うものを選んで、詰め替えしていると、先に２枚が格納されていると思っていたちいさな銀の額から、さらに２枚を発見した。計４枚の同梱タンカ（写真下）だった。もうけ〜。
緑ターラー２枚＋白ターラー２枚のセットのようだ
チベットタンカ
「ベクツ」
伝18世紀 縦８cm 横6.3cm
初値1000円→落札
送料他の２点と同梱で80円
これはベクツである。なぜなら、出品ページにそう明記してあったからである。しかし、だからといって、ベクツが何者であるのか、依然として不明である。ベクツ、いったいおまえは……？
チベットタンカ
「ベクツ」
伝18世紀 縦6.3cm 横５cm
初値1000円→落札
送料他の２点と同梱
これも出品ページにベクツと明記してあったので、ベクツとせざるをえない。上掲ベクツより、やや小ぶりながら、描画が入念で、競争で高値になるのを危惧し、また2000円まで覚悟していたが、意外にも無競争のまま落札。同好の入札者も、そろそろ疲れてきたか。前後３点、いずれも無競争。
チベットタンカ
「ベクツ」
伝18世紀 縦6.3m 横4.9cm
初値1000円→落札
送料他の２点と同梱
これもベクツだという。そう明記してあった。でも、色からして、マハーカーラじゃないのか？ 青いベツクというジャンルがあるのか？ ベツクの正体、手がかりを得られないまま、ますます混迷を深める。え？ ベツクじゃなくて、ベクツ？ そんなん、この際どーでもえーやないか。
チベットタンカ
「父母仏（ヤブユム）」
伝18世紀 縦7.7cm 横6.2cm
初値1000円→落札
送料他の２点と同梱
本尊が妃を抱いている媾合型の尊像は、平面、立体を問わずチベットに非常に多い。むせかえるような官能を放っているのがふつうだが、これはなんかやる気がなさそう。義務的にやってるというか。
父母仏というらしい。チベット寺院でも、誰もが見られるわけではなく、秘仏扱いされ、一定の修行をした者のみ拝観できるようになっていると、ある書物に書いてあった。
チベットタンカ
「父母仏（ヤブユム）」
伝18世紀 縦5.3cm 横4.3cm
初値1000円→落札
送料他の２点と同梱
描画、彩色とも稚拙。べつに買う気もなかったが、妃を抱いている本尊の目の下に隈ができており、ちょっとやりすぎなんじゃないかと……。購入の理由になってへんやないかって？ まーそーですねー。
さーて、こんなにタンカばっかりゲットして、どう整理すりゃいいんだろうか。呼和浩特で買ってきた額縁には数に限りがあるし。写真収納用のクリアファイルを購入、ひとまずそこへ綴じ込んでおくことに。
「タンカの世界」
山川出版社 定価1700円
ユースド価格1350円 送料340円
とにかくタンカの世界は複雑怪奇、難解至極ということで、基礎的知識を得るために購入。著者は、日本で唯一ともいえるチベット仏教と美術の専門家である。しかし、結論をいうと、内容がやや学術的に過ぎ、ヤフオク商品解明の役にはあまり立たなかった。
もっとも、いままで全く知らなかったチベット王国の興亡や、チベット仏教諸宗派の離合集散の一端を知り、いずれ日にか、かの地を訪れたいという気持ちが一層高まった。
新本価格で1700円。アマゾンでは、1500円以上の商品は送料無料となるので、古本＋送料＝1690円では10円の得にしかならない。しかし、新本だと、注文から入手まで数週間を要することがあり、その点、古本は、注文の翌々日には届くところが便利。
「春情浮世婦し」
江戸期 横12cm 縦17cm
応齋・女好庵主人誌 喜楽齋画
初値1000円→21入札→落札２万4500円
送料350円
「媾合型父母仏（ヤブユム）」を眺めているうち、なにか気持ちがむらむらと高ぶり、気がつくと頭に血が上って、かーっとなり、どんどん競り上げて、こんな価格になっていた。春ですねえ。ま、痴漢で捕まり、罰金５万円払ったうえ、失職するよりましか。
 標題のように書いて「しゅんじょう・うきよぶし」と読ませるらしい。極彩色版画が13ページ（見返しに女性１人の図＋媾合12組）。文章が５ページ（序文２ページ＋本文３ページ）。末尾の何ページかが欠落、補修してある。
「うきよぶし」と謳う通り、媾合12図のそれぞれに、艶っぽい都々逸を添えてあるが、男女の睦言らしいせりふの部分ともども、変体仮名を多用してあるので、読みにくい。
解読を試みると、「須磨の関屋をうかがうならば泣いて明石の浦千鳥」「つらい別れの今朝きぬぎぬの耳に一声ほととぎす」「派手な桜の一枝よりも地味な松葉で末永く」などなど。合っているかどうか責任持てませんが。
残念ながら、７天倫理委員会の規定により、
ここまでしかお見せできません。
どうしても、という方は、個別にご相談ください
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