助山が例の大声で「シャ−ナイやんけ！！」とわめくようにいう声が、時として心の中に響いて驚くことがあります。

あれは助山の口癖のようなもので、本人はたいした意味もなく、しょっちゅう叫んでいるようなところがあるのですが、言われた方では妙に心に残っているのです。そして人生の節目、というほど大層なものでなくても、いろんなことで落ち込んでいる時とか、物事が思うようにいかなくて悲しい時、残念無念な時、ムシャクシャしている時、愚痴を百ほど言いたくなる時に、フイとその助山の「シャーナイやんけ！」の大声が聞こえてきます。

そして「うん、そうや。シャーナイ、シャーナイ！」と、独り言を言って事をやり過ごそうとしている自分に気づいて笑ってしまいます。

いつだったか、助山の下宿の先輩でわれわれの大恩人でもあるＫ生（慧星）さんも書いておられました。Ｋさんが若かりし頃、自信も誇りも持っておられたお仕事から違う部署へ異動させられることになって、「退社する！」と息巻き、憤懣やるかたなくブツブツ言っておられた時、助山が「シャーナイやんけ！」と言ったその声が耳に残っている、と。

私も同じなのです。具体的に自分がどんな場面で言われたのか、もうよく覚えていないのですが、とにかく耳に甦るのです。（助山に対して、いわゆる愛はないと思うのだけれど・・。ただ、声がね、聞こえるのよ、ケッタイなことにね。 It haunts me still・・という感じで・・）。

あの助山の「シャーナイやんけ！」は不思議です。「仕方がないじゃないか！」「どうしようもないじゃないか！」等と標準語に言い換えても大分違います。たぶん、「シャー」と一気呵成に言うところと、「やんけ」のところが違うんでしょう。とくに助山がわめくように言うと・・。

「ブツブツ文句言ってクヨクヨ落ち込んでどうなるんや、さっさと受け入れて、はよ起きて行かんかー！」という勢いがあって前向き、潔い応援歌のようです。

思わず「そや、シャーナイなー、人生、こんなことも多いよね、ほな頑張るわ」と、つい起き上がってしまいます。

ほんに有難い「耳に甦る助山のお言葉」であります。