この現代に 何故白黒 かつ サイレント？という疑問は、「サイレント映画のスターがトーキー時代に適応できず、落魄してゆく」というストーリーを観て、なるほど、と納得。

サイレントと言っても音楽は入っているので、音楽でほとんどの場面の状況・感情が表現されるのが、秀逸でした。（字幕もあって、要所のセリフは表示されます。）

「俺は芸術家だ。トーキーなんて！」と変化を受け入れず人気を失ってゆくスター、ジョージ・ヴァレンティンと、逆に、変化の波に乗って人気者になってゆくぺピー・ミラーの人生と愛の交錯・・。出会った時の二人の立場は逆転し、凋落してゆく男を陰で支援する女の純愛・・だが、それに甘えられない男のプライド。

いかにも通俗的なストーリーですが、絶妙至極の音楽も相まって、ほろ苦い大人のラヴロマンスに仕上がっていて、鑑賞後の満足度９８％？というのも納得できる なかなかの秀作でした。主人公の愛犬の演技？がまた素晴らしく、カンヌ国際映画祭でパルムドッグ賞を受賞しているとか・・。

古き良き時代の雰囲気を味わわせてくれ、ノスタルジーを満喫させてくれる魅力もあります。やっぱり、ハリウッドで撮っても、フランス映画は一味違います。いや〜、映画はこうでなくっちゃね。