「パリを舞台に撮る」というところから企画がスタートした、と言うだけあって、パリの観光案内みたいに色々な場所を見せてくれるのが、嬉しい（特に 夜のエッフェル塔のきらめくイルミネーション等）。パリやヴェニスは、街そのものが芸術と言っていいくらい、魅力的で、ついハマってしまうというのも、共感できます。（ま、日本で言えば、京都ぐらいでしょうか・・？）

「昔は良かった」という回顧趣味はどの国にもある様で、ハリウッドでは「アメリカングラフィティ」というのがあり、日本でも「ALWAYS：３丁目の夕日」が人気でしたが、さすが、Ｗ・アレンだけあって、単なる過去礼賛に陥らず、回帰願望というのは、どの時代にもあった事を描いて、「抗生物質も無い時代なんて・・」と、醒めたセリフを言わせてます。「古き良き時代」というのは、結局 現実からの逃避か、年寄りの回顧趣味の幻想なのかも知れませんね。

それにしても、この映画は観客の知識レベルが試される様な面があって、ヘミングウェイやピカソ、ダリ、ロートレック、ドガ、ゴーギャン、等は知っていても、ガートルード・スタイン等となると、あまり馴染みがなく、なんだかな〜・・、でした。

ヘミングウェイやピカソの愛人(アドリアナ)役に、「エディット・ピアフ」のマリオン・コティヤール、画家のダリ役に「戦場のピアニスト」のエイドリアン・ブロディ、とアカデミー主演賞俳優が顔を揃えているのも、贅沢な話です。さらに、珍しい出演者として、サルコジ前大統領夫人なども・・。

Ｗ・アレンの作品は「おいしい生活」「人生万歳！」「それでも恋するバルセロナ」等しか観てませんが、また今秋には「恋のロンドン狂騒曲」が公開されるそうで、楽しみです。（現在７７才、まだまだ現役！）