殷人自賛

山口誓子だったかに、「海に出て木枯らし帰るところなし」という印象的な句がある。路地の入り口のつましいたたずまいに、ふと中をのぞき込むと、びゅっと木枯らしが吹き出してきた。
冬の代表的な天候季語でまとめてみたが……。

４句目。敬愛する新聞記者の先輩であり、かつご近所に住み、私と私の家族をいつも気遣ってくれていた青木彰先生が、12月16日未明、ご逝去。きょう19日、告別式。享年77。
なくなる少し前、何度かご自宅を訪ねたが不在で、ホスピスに移られたと推察していた。留守電に録音した声に故人をしのぶ。

格山講評

殷人句　歳暮れる留守電に亡き人の声　年の瀬を越すというが　年の暮れに知人の訃報を聞くことが多くなってきた。寒さの到来と　自分が年老いてきたこととの　両方が　その原因であろう。この殷人句は　「最近の留守電に残っている　故人の肉声を聞き直して　改めて　故人を懐かしんでいる」という情景を捕らえていて、現代俳句だなあ　と感じさせる。

故人を偲んでいると　どこか　あの世に親近感が感じられる年齢になってきた。人生はうまくできている　とも言えそうだ。

酔桃自賛

1句目。庭にホトトギスが数株あります。
2句目。ご近所の家が売りに出されました。長年丹精こめられた見事な薔薇の垣根を置いていくのは、いかにも残念だろうな、と。

4句目。ちょっと見、「想夫恋」系の句かと思うでしょ。違うんです。「たまに亭主が出張やとせいせいするな〜」系の句です。退職した後は、う〜ん、昼間からずっと居るんかぁ・・！

殷人講評

退職したわけでもないのに、家にいることが多い、今日このごろ。身につけた技術は、買い物、洗濯、干し物、洗い物、ゴミ出し、犬の散歩……。そんなん当たり前やんか、といわれると、その通りですが。

格山講評

酔桃句で　ご亭主が　そろそろ退職ということが判りました。

もっとも　彼は　いろいろと　まだしたいことが有りそうだし、周りも　放っておかないだろうから、相変わらず　家を留守にするのだろうという気がしますが。ともかく　ご苦労さまでした。この労いは　お二人にたいしてです。

私の方は、７年前に　手術したのを好機に退職しましたが、退職してみると　勝手気儘にやりたいことがやたらに頭に浮かんできて、かえって　時間が不足してきました。大体は「妄想」の類だけれども。

私の　女房との関係は　全然　変化なしでした。つまりは　もともとお互い無関係に　勝手をしてきたということかな。
しかし　新たなる夫婦関係を　句の世界でも見せてください。

汀里自賛

殷人先生
中国に一緒に行けますよう祈っております。
１０月３１日〜１１月３日まで下見のつもりで上海と杭州に行ってきました。

殷人講評

各方面にご心配をおかけしております。 いろいろな方のご努力で、いい方向に向かっているような気がします。
中国、ほんとうに是非ご一緒したいものです。