最近、知人のホームページが凄まじい「掲示板荒らし」に遭いました。なんと一日のアクセス数が6,000を超えて、掲示板に差別的攻撃的な嫌がらせの書き込みが延々と続いたそうです。（幸い彼のＨＰの管理者が有能な人で、こういう攻撃にすぐに対応したので、今も掲示板は正常に機能しています。また嫌がらせの書き込みに倍する激励のメールも届いているみたいですが、本人はもちろん、攻撃の矢面に立っているＨＰ管理者の疲労消耗は、大変なんてもんじゃないでしょうね・・）。

去年のちょうど今ごろ、うちの亭主の主宰している市民運動のＨＰも同じような攻撃（規模はずっと小さかったけれど）に遭って往生しました。削除しても削除しても、次から次から匿名で、悪罵のたぐいあるいは挑発的かつ不毛な内容のイヤガラセを書き込んでくるのです。こちらも忙しい身、掲載前チェックをするにしても膨大な削除作業ばかりにもかかっておられず、かと言って捨ててもおけず、ついに掲示板をしばらく休止せざるを得なかったという無念なことを経験しました。

今度被害に遭ったのは、Ｃ氏。私より１０歳ぐらい年下かな？　知る人ぞ知る関西の歌手・ミュージシャン、評論家にして芸人、柔道二段、大手予備校Ｋ塾の英語講師でもある、繊細かつ豪放磊落な好漢です。彼は身体のデカい、とても面白い人で、「得意技」は「内股、肩固め、片羽締め、ウエスタン・ラリアート、ジャーマン・スープレックス・ホールド、パワーボム、逆フルネルソン固めｅｔｃ」（ここら辺、ドクターＦの専門領域か？）だそうです。「危険につき触らないでください。敢えて喧嘩を売る場合、面（めん）晒して堂々とサシで勝負せよ。（『言論コース』『肉弾戦コース』のいずれかを選択すること）」と彼のＨＰに書いてあります。どっちのコースを選択しても、まず勝てませんよ、彼には！

そんな彼の言動の一体どの辺が、どの辺りの人々の「カンにさわった」のか、よくわかりません。

この世の中、いろんな問題について意見・考えの違いがあるのは仕方がありません。批判しあうのも、時に罵り合いになってしまうのも、また仕方がない。

でも、掲示板への匿名での書き込みという「自らは面を晒さない」地点から、好き勝手言いたい放題、ひどい差別的悪罵の限りを尽くす、その卑劣さには怒り心頭、言葉をなくします。（どこかに、そういうことを煽るサイトでもあるのかも知れません。彼らは、きっと個別には気弱だったり孤独だったりする人々のような気もします・・。たぶん、本当の人間同士の熱いつながりなどには、ずっと無縁できた人々ではないかとも思います。そういう意味では可哀想だなあとも・・）。

でも、その無名・匿名の悪意が、集団で（たぶん組織的に）イナゴの大群のように、どこからともなく押し寄せてくる不気味さ、嫌さといったらないですよ。かなり気丈な人でも、あれはコタエると思います。そうして気に入らない相手のＨＰを「まるで祭りのように」荒らし、食い散らかして相手を精神的に消耗させた末に掲示板を閉鎖に追い込む。そしてそれを戦果として、また次の標的を見つけ出してはイナゴの大群は移動していく。

こういう情けない、卑怯な現象は、ひよっとしたら、今の日本の社会をそのままに映している鏡なのかも、と感じます。鬱積した不満や怒りは，決して本来向けるべき強い者、権力を持った者には向かわない。社会的、政治的、経済的、身体的に弱い者や、自分の気に食わない者を恣意的に叩く形で鬱憤晴らしが行われる・・。

堂々と顔をさらして自分の意見を言うのにすごく勇気のいる時代がもうそこまで来ているんだな（あるいは、もうとっくに来てしまっているんだな）、と実感しています。かくいう私にしたって、恥ずかしいことですが、荒らされた後、さすがにシュンとしてしまった感のあるＣ氏の掲示板に激励の書き込みをするのに、ちょっと考えましたものね。その末にハラをくくってエイッと書き込んだ、というのが正直なところです。自分のメールアドレスを「彼ら」の目に晒した挙句、不快なメールを多数送りつけられるのは、やっぱり嫌だから・・。幸い何事もなくてホッとしています。

つくづく、けち臭く息苦しい世の中になりました。だからこそ、たまにどこかから一陣の風でも吹いてくると格別に嬉しいのです・・。なんとか、また大らかな風通しのよい世の中にできないもんですかね。

余談になりますが、先日「七天」の伝言板が一時具合悪くなったでしょ。あの時も一瞬、「あ！　七天もイナゴの大群にやられたか！　それで今、頼みのＧ和尚が必死に善後策を講じてくださってるんだ」と思いましたよ。でも、すぐに冷静に考えて「七天は狙われないよね、たぶん！」と思い直しました。しかし、それもわかりませんね。誰が誰の何を憎んでいるか、ようわからん時代になってしまったみたいだから・・・。と言って、気のつけようもないところが、なんともはや困ったもんですね・・。