請勿詰難　請勿返品
雅虎拍売城
公元2008年９月

青花山水図水盂
胴径11cm　高さ5.5cm
初値3000円→落札　送料900円

水盂にしては大きい。筆洗といった方がよいかもしれない。まあ、厳密に区別する必要もなかろうが。そんなに古いものではなさそうだが、ぴかぴかの新品に古色をつけた贋物でもなさそうだ。山水の描線は、巧みというわけでないが、稚拙でもない。ちゅーとはんぱなやつなのである。

応札する気になったのは、中国通貨で200元（3200円）を下回る割安感と、なににもまして、胴のふくらみ方にそそられるものがあったからだ。メタボといえば、メタボ。しかし、このふくらみを美とする職人、誰かしらないが、ただの偽物作りかもしれないけれど、に、共感してしまったのである。



見込みにも絵がある

出品者にもずいぶん個性の差があると、今度の落札・購入の過程で知った。私は、関西でいう「いらち」で、落札すると、夜中でも未明でも、すぐ相手に連絡、銀行振り込みもネットでさっとすませる。出品者も同様の性格の者が多く、「迅速な対応を感謝」と素早くレスポンスしたうえ、さっさと物を送ってくる。

こんどの出品者は、ちょっと様子が違い、こちらから連絡しても、ほぼ１日ほったらかし。代金を振り込んでも、入金確認の連絡もなければ、送付の連絡もなし。そして突然、なんの前触れもなく、宅急便が届いた。ひんぱんに連絡をくれる出品者と比べ、到着が遅かったわけではないので、入金を確認して、すぐさま送ったのだろうが、それはそれとして、一言ぐらいあってもいいのではと思った。

この出品者に対する落札者の評価で、「非常に悪い出品者です」というのがいくつかあった。普通は、傷物をそうと告知せず売りつけた、とか、業者間で値をつり上げ、一般人の高値入札を誘導した、とかいうのが多い。しかし、この出品者の場合、「全国一律900円の送料」に固執、落札者が「安価な定形外郵便で送ってほしい」と頼んでも、頑として応じず、それでトラブルを招いている。

まあ、偏屈な人なのであろう。しかし、骨董を扱う業者で偏屈でない者が、いるのだろうか。などと考えながら、この記事を書いていると、その偏屈出品者から、電話があった。「送った物が、別の人の落札品と入れ違っているのでは、と心配になって連絡した」という。声を聞く限り、とくに変人とも思えなかった。ただのものぐさで、粗忽者なのかも知れない。

粉彩植木鉢
洪憲年製款　皿付き　口径20cm　高さ16cm
初値1000円→３入札→落札1300円　送料580円

植木鉢である。底に穴が空いていて、そこから排水する。別に受け皿があって、保水の役目を果たしている。彩色や焼成の手間を考えると、初値1000円というのは安く、1500円くらいで指し値しておいたところ、さしたる競合もなく落ちた。

底に「洪憲年製」と読める款があり、聞いたことのない年号だと思って調べてみると。ウィキペディアに次のような記述があった。

――洪憲 （こうけん）とは中華帝国の袁世凱が使用した元号。1916年1月1日から同年3月15日までと、使用された期間はわずか83日。骨董品などで「洪憲年間」に作られた陶磁器などが、珍品として売られているときがある。短命元号ゆえのプレミアを見込んで作られたニセモノである――。

清朝時代からの北洋軍閥・袁世凱は、その軍事力を背景に、孫文から中華民国大総統の座を譲り受け、一時、帝政を復活して帝位に即いた。



底部に「洪憲年製」の款

古玩城の闇鍋 千円木偶の世界 少年陶俑 素焼きに着色　高さ21.8cm 初値1800円→落札　送料800円 素焼きとはいうが、非常に固く焼き締めてあり、持つとずしりと重い。鉄かと疑うほどだ。出品者は、「出所不明。東南アジアのどこかかもしれない」といっているけれど、切れ長の目は、南方系というより、北方系を思わせる。モンゴル系かチベット系の少数民族？ 髪の毛を三つ編みにして後ろに垂らし、木の葉っぱのようなものを持っている。衣装も特徴的で、厚手の靴を履き、前後左右に放物線様の裾を垂らした袴がとくに目を引く。この方面に詳しい人が見れば、どこそこのなになに族と、すぐにわかるかも知れない。