３嫁旅行の２日目、朝目を覚ますと、ひどい雨だった。前夜、月も星もあんなに綺麗だったのに。付近の見所として見つけていた「萬城の滝」に行く予定だったのだ。修善寺の駅から出ている「地蔵堂上」行きのバスに乗車、「地蔵堂」で下車、徒歩２０分と記憶していた。この雨では散策もできず、まっすぐ帰ろうかと諦めてバス停に向かうと、なんと雨は上がり、駅に着くと青空さえ出てきた。滝まで行ける！

駅で聞くと、この季節は滝行きのバスが無いと言う。タクシ−で行くしかないと言う声を聞き、運転手さんが寄ってきた。滝とワサビ園を廻って帰る２時間コ−スで１万何千円かだと説明される。「滝だけでも同じくらいですね。１人３０００円くらい出して頂ければ、見物の間待っています」とのこと。滝１つ見るのに、３０００円もねぇ。ただよく聞いて見ると、地蔵堂までのバスはあり、そこから滝までのバスがないのだと言うことが判った。初めから散策目的なので、それでＯＫ。

バスは出たばかりで１時間後だと判る。「３人だとタクシ−の方が安いかなぁ」という係の人の返事。「バスは幾らくらいですか？」「さぁ、４００円くらいかなぁ」。全然違うじゃない！（バスとタクシ−は同じ会社だった）。バスに決めた私達に、さっきのタクシ−の運転手さんが、「荷物はロッカに置いて行くといいよ、上りだから３０分は歩くからね」と提言。お土産を買って、ロッカ−に荷物を入れ身軽に。運転手さんは、暇そうにカウンタ−でおそばを食べている。そうこうするうちにバスの時間が来た。



乗り込んで座ると、窓ガラスを外からトントンと叩く人が。さっきの運転手さんだ。慌てて窓を開けると、「バスの運転手に降りる所をちゃんと言っといたからね」。断ったのに、何と親切なこと！

バスは駅をぐるっと廻って行く。振り返ると、さっきのタクシ−と、我々より年配の女性２人が交渉中。トランクを開けて荷物を入れ始めた。「お客さんがついたわ。よかったわね」と、自分達は断っておきながら、安堵する。

さて、バスに乗り込んだものの、ほんとに４００円なんかで行くんだろうか？かなり乗ったのに、まだ「地蔵堂」に着かない。「地蔵堂中」なんていうバス停が現れる。４００円は越えた。すると、「萬城の滝」という案内板が見え、矢印が戻る方向になっている。えっ？！　心配になり、運転席へ行く。案内板のことを言うと、「上から行けますから大丈夫です」

このバスは、乗客が好きな所で乗降できるそうで、地元の人が家の前で降りたりして、バス停だかなんだか判らない。そのうち、筏場とかいうバス停で、長い間停まっている。でも誰も乗降しない。？？？　既に３０分も乗っている。料金は５００円。運転手が降り、タバコを吸い始めた。そうだ、駅のバス停で「地蔵堂上」行きを探したとき、乗るように言われたバスには、筏という字が付いていた。終点だ！

じゃぁ私達はどうなるの？　義妹たちは頭が良かった。これから、違うル−トを通って、駅に戻るんだと推測したのである。また動き出し、整理券の値段が１４０円に戻り、「修善寺駅行き」となって動き出した。暫く行くと、地蔵堂。「ここでお降り下さい！」の声で、やっと安心。タクシ−の運転手さんが、わざわざバスに停留所を言っておいたという意味が、ここでやっと判る。料金は５００円とのこと。往復１０００円。やれやれ！　タクシ−を蹴った意味があった。帰りはどちらに行くバスに乗っても良いと言われる。



滝までの道は、脇道に逸れているだけで、バスの通る舗装された広々した道。確かに上りだったが、たった１５分で到着。萬城の滝など聞いたこともなかったが、浄蓮の滝と同じ規模、同じ流麗さで、なかなか素敵だった。マイナスイオンを浴びながら、買ってきたおにぎりを食べ、ハイキング気分。

バス停に戻っても、まだ時間があった。反対側のバス停は？　よく見ると、１枚の案内板に、２方向のバスの時刻表が書かれているのだった。バス停は１つなんだ！都会では考えられないこと。今になっていろいろ解明されて来る。

帰り道は殆ど乗客がなく、スピ−ドアップ。行きの半分近い１５分間で駅に到着。大阪の義妹に付き合って三島まで行く予定だったが、丁度踊り子号があり、修善寺が始発で自由席のため、またまた１０００円ほどの節約の上、東京まで乗り換えなし、ということで、義妹を放り出す！　別荘事件以来、不当な待遇でごめんね。ま、どっち道一緒なのは３０分足らずだったから、許されたし。