60講

「白髪になっても忘れない」

詩篇７１：１〜２４
2002年9月15日

「白髪は栄光の冠、それは正義の道に見出される。」（箴言１６：３１）　正しい生き方をした老人は美しい。老いとは確実に死に近づいていることであるが、その死に向かってどのように生きたらよいのか。3つの認識が必要である。

「神なる主よ。あなたは、私の若いころからのわたしの望み、私の信頼の的です。私は生まれたときから、あなたにいだかれています。あなたは私を母の胎から取り上げた方。」（詩７１：６）
１：生まれた時から、いや生まれる前から私は神に委ねられた。このことの自覚をはっきりと持ち、感謝し、告白しよう。

にもかかわらず、「あなたは私を多くの苦しみと悩みとに会わせなさいました、」（詩７１：２０）
２：神のふところにあっても、私たちはこの地上で何の苦しみや悲しみにも会わないで生きるというわけにはいかない。愛する子にはムチを与え、試練の中から神を呼び求め、その結果深く知るようになるためである。

しかし、３：神は決して私を見放されない。「私を再び生き返らせ、地の深みから、再び私を引き上げてくださいます。」（詩７１：２０）　若い力や感性はすばらしいが、老いてそれらがなくなっても、おまえはもう駄目だとは言われない。「あなたがたがしらがになっても、わたしは背負う。わたしはそうしてきたのだ。」（イザヤ４６：４）　神は私たちを片時も休まず支えられるのだ。こうして、神との交わりはますます深くなっていく。喜びが大きくなる。

クリスチャン医師である日野原重明氏は92歳の高齢でも現役のパリパリである。彼によると、その秘訣は「新しいことを創（はじ）める」ことだと言われる。そうしたいものだと思う。しかし、たとえ何も創められなくても、今も支えてくださっている神を、死の寸前まで賛美し続けることができれば、それでよいのではないか。「私の口には一日中、あなたの賛美とあなたの光栄が満ちています。」（詩７２：８）　神がそのことを最も喜ばれるからである。