鉢妃が歩けば、ネタに当る！　いろんな出来事が生じては、深夜日記に書いてきましたが、これほどの仰天ものは……。

買い物に出ようと、玄関を開けたら、目の前に異様な光景が！　脱ぎ捨てたズボンや荷物が散乱！　お向かいのドアの鍵をガチャガチャとせわしく開けようとしている半裸の男性の後ろ姿！！！　たまげた、なんてものではありません！

一瞬お向かいのご主人かと思ったのですが、振り向いたのは、「トイレに行きたいんだ！」と必死の形相のお年寄り。あっ、確か、○○さんだ！　上階の方が同じ間取りの自宅と間違えているんです。「うちのトイレを使って下さい！」と慌てて誘導。

ところが、自分の家と間取りが違うので、訳が判らなくなったのでしょう。トイレにお連れするのが先ず一苦労。トイレは玄関からすぐなのに、廊下の奥の方へ行かれたり、お風呂場に入ろうとされたり…。

足がおぼつかない方なので、こちらも必死。いつなんどきという切羽詰った状況だったのです。やっと便器に座らせ、ドアを閉め、「ご家族に連絡してきますから、そこに居てくださいね」と声をかけると、「もう終わります」と。

自分で始末をなさったので、ほんとの意味で下の世話をした訳ではないのですが…。「ここで手を洗って！」「ハイ、石鹸！」「ハイ、タオル！」と出すと、おとなしく言われるままに。



ところが玄関にお連れすると、靴がありません。実は玄関を上がる時点から、ソックスの状態だったんですが、「靴を履くんだよ！」と、私を振り切って、またまたとんでもない方向へ。こっちもその方を押さえつけ、「いいからこっちに来てください！」。ただでさえかん高い声が、益々きんきん声に（これは後からかなり反省）。

靴が見当たらないまま、エレベーターに押し込め、上階へ。私が知っている階数を押しているのに、「そうじゃない！」と言って、勝手に違う階のボタンを押され…。

結局、正しい階に連れ戻し、奥様がお留守だったので、玄関に鍵を差し込むと、カチャッと開きました。その方と荷物を押し込み、すぐ近くに住む息子さんに事情を言って、引き渡した次第。

トイレは汚されてはいなかったのですが、お香を焚き、クレゾールで消毒、外も内も一緒の足で歩かれた床を、洗剤で拭き掃除。

奥様がその直後に帰って見え、靴は、ズボンの中に入っていたことを知らされました。普段は、きちんとして、話も理路整然とした方だそうです。突然のことに動転されてしまったのでしょう。

でも、お年寄りの介護をしている人々から見れば、結果的には何でもなかったじゃないか！と言われるでしょうね。母が祖母の世話をしていたときには、もっともっと悲惨な場面がありました。そういう方々に、敬意を表する気持ちになったハプニングでした。