85講

「ノア（２）虹の契約」

創世記９：１〜１７
2003年3月9日

主の命令通りに箱舟を作って入った故にノアとその家族、生き物たちは大洪水から逃れることができた。箱舟から出てきたノアが最初にしたことは、「主のために祭壇を築き、全焼のいけにえをささげた。」（創世記８：２０）　主はこれを見て、契約を結ぶ決心をされる。その契約の主体は主ご自身であり、その相手はノアとその子孫、一緒にいるすべての生き物であった。

契約の内容は、
１：「生めよ、増えよ。地に満ちよ。」（９：１）　再び地を建て直し、子孫の繁栄を約束された。
２：「生きて動いているものはみな、あなたがたの食物である。緑の草と同じように、すべてのものをあなたがたに与えた。」（９：３）　人間は植物のみでなく、動物も食べてよい。しかし、「わたしはこれらをあなたがたにゆだねている。」（９：２）と動植物、自然の支配、維持管理を任された。
３：「すべて肉なるものは。もはや大洪水の水では絶ち切られない。もはや大洪水が地を滅ぼすようなことはない。」（９：１１）

この契約は「代々永遠にわたって」結ばれるものである、と主は言われる。しかし、ノアの側では何もしなくてよいのではなく、一つだけ条件と思われるものがあった。「人の血を流す者は、人によって血を流される。神は人を神のかたちにお造りになったから。」（９：６）　血はいのちであり、いのちの大切さを戒められた。人を殺すな、傷をつけるな。そのゆえんは、神ご自身が人を造るとき、自分のかたちに似せて造られたからである。

「わたしは雲の中に、わたしの虹を立てる。それはわたしと地との間の契約のしるしとなる。」（９：１３）　虹を見れば「ノアの契約」を思い出そうと言われるが、虹を見て主の契約を思い出すべきは私たちである。「ノアの契約」は、ノアから、アブラハム、モーセ、ダビデ、そしてイエス・キリストへと続く。そしてキリストの新しい契約（新約）は現在にも続いている。一旦滅ぼされた罪びとの群れである人間に与えられた神の恵み、すなわち、十字架による救いを覚えよう。