88講

「アブラハム（２）不信仰と失敗」

創世記１６：１〜１６
2003年3月30日

アブラハムの信仰は、旧約、新約にたびたび引用されるほど模範的である。しかし、そんな彼とて人間。完全無欠ではなかった。悩み、疑い、絶望の淵に立たされて不信仰に陥り、失敗をしてしまうことも度々あった。

食料を求めてエジプトへ行ったとき、妻サライがあまりに美しいので危険を感じ、妹だと偽ったゆえに王パロに妻が召し入れられた。自分の妻を差し出すという罪を犯したのである。　同じことを二度も繰り返しているが（創世記１２：１０〜、２０：１〜参照）主は二度ともサライの身を守られた。

主がアブラムに祝福を約束されてから10年。長年祈って待ったのに祝福の基である子どもが生まれない。サライは自分の女奴隷であるエジプト人ハガルを夫アブラムに与えて、子どもを産ませることになった。当時は社会的に認められていたことにせよ、無理やりこれが神の御こころだと思い込んだのである。サライも愚かだが、それを聞き入れたアブラムも間違っていた。

ハガルとアブラムとの子は「イシュマエル」と名付けられ、今のアラブ民族の先祖であると考えられている。子を得たハガルは高慢になり、サライはハガルをいじめるようになる。ハガルはサライから逃げるが、主に呼び戻される。そして子孫は数え切れないほどになると、ハガルも主から祝福を受ける。

それからさらに１３年。９９歳になったアブラムに再び主が現れ、「あなたの名は、もう、アブラムと呼んではならない。あなたの名はアブラハムとなる。わたしが、あなたを多くの国民の父とするからである。」（創世記１７：３）

アブラムは「私に何をお与えになるのですか」と主のことばに疑いをはさんだ。アブラハムとサラ（サライはサラになった）に子が生まれると告げられるが、高齢の二人には信じられない。（創世記１７：１５〜、１８：１〜参照。）

アブラハムの失敗と不信仰は事実である。しかし、これらは試練であり、確かな信仰へのステップとなる。この背後に主のあわれみを見る。アブラハムを用いて主がご自身の計画を成し遂げていかれるのである。