90講

「完了した」

ヨハネ１９：１７〜４０
2003年4月13日

イエス・キリストは十字架上で７つの言葉を話された。そのうち３つがヨハネの福音書に記されている。「女の方。そこにあなたの息子がいます。」「そこにあなたの母がいます。」（ヨハネ１９：２６，２７）　肉親よりもむしろ愛する弟子（ヨハネと考えられる）に母マリヤを守り養うことを願われた。

『聖書が成就するために「私は渇く。」と言われた』（１９：２８）　主は詩篇６９：２１のことば通り酸いぶどう酒を口にされた。「完了した。」（１９：３０）　これは「成し遂げられた」という意味であり、勝利の宣言である。主の贖いのわざが完結したのである。

それは神のひとり子が十字架で死ぬことによる贖いである。ユダヤでは罪の赦しのために動物が身代わりとして献げられていた。今や全く罪のない方が犠牲として献げられたのである。「キリストは、私たちのために、ご自分のいのちをお捨てになりました。それによって私たちに愛がわかったのです。」（�Tヨハネ３：１６）　自己犠牲による無償の愛こそ最高の愛である。そのキリストを信じる者には誰でもこの愛が与えられるのである。

「一粒の麦がもし地に落ちて死ななければ、それは一つのままです。しかし、もし死ねば、豊かな実を結びます。」（ヨハネ１２：２４）　世の常識からすると逆の意味ではないかと思われるこのみ言葉の中に真実がある。キリストは豊かな実のため、すなわち私たちの救いのため、私たちが真に生きるためにどうしても死ななければならなかったのである。この救いは神が最初から計画されていたことであり、その見事な成就を著者ヨハネは驚きをもって記しているのである。

主の十字架の死はこの私を罪から救うための不可欠なできごとであった。
「私の罪を贖うために十字架にかかられた主よ。私の感謝の涙をお受けください。」（水野源三氏詩集「み国をめざして」より。）