バッシャーン！
飲みかけたばかりのコーヒーをテーブルから、思いっきりこぼしてしまいました。

渋谷に用があって出かけた時のこと。駅前のスターバックスに入りました。外からその光景をいつも見ていましたが、入るのは初めて。１階で注文し、コーヒーと紙ナプキンを持って２階のテーブルへ。ところが満席で、仕方なく、中２階で立ち飲みとなってしまいました。丸テーブルが３つ置かれ、椅子はないのです。

バッグはテーブルの上に置いたのですが、思ったより暖かい日で、脱いだコートを手に持っていました。そのコートが何かの拍子に、紙コップに触ったのでしょう。冒頭の場面が起こってしまったという訳です。上着もスカートも、真っ白！　カフェラテのミルクです。あーあ！

と、その時、「お使いください！」と、紙ナプキンを差し出してくださった方がありました。「まだ使ってませんから」。

見ると、隣りのテーブルに居た２０代の女の子。「ありがとう」と受け取って、自分の紙ナプキンと両方で上着を拭き始めたら、「あーっ、こっちも！」と、今度は、その女の子とカップルの相手の男の子。

左手に持っていたコートの袖にもついているのです。で、そっちを先に拭きました。また上着の方に手を、と思ったら、コートの他の個所にもこぼれているのを、その男の子が見つけてくれたのです。しかも、私がもたもたしているのを見ると、「こっちは任せてください」と言って、そのコートを預かってくれました。女の子は、屈みこんで、私のブーツの汚れまで！

「どうもありがとう！　若いのに、親切ね」と、私は私でせわしく汚れを取りながら言うと、「若いのになんて」と笑っていました。

すぐに騒ぎ（騒いではいませんが、すぐ下に店員がいるので）を知った店員の男の子が上がってきてくれました。「こぼしちゃったの、ごめんなさい。ここ（テーブル周り）を拭いてくださる？」。店員さんは、モップを持って来て、掃除をしてくれています。「洋服は大丈夫ですか？」とまで聞いてくれました。



幸い、厚手のスカートと上着だったので、染み込んじゃって、ナプキンで拭いたら、汚れが判らなくなりました。コートも、男の子がちゃんと拭いて持ってくれていました。２人に何度もお礼を言って帰ろうとした時、さっきの店員さんが、「カフェラテでしたね？」と新しいコーヒーまで持って来てくれたのには、びっくり！

みんな親切で感激！　バッグの中をちらっと見ましたが、これと言って上げるものもありません。一旦外に出てから、ＪＲのカードでも買ってあげようか、と考えました。

その時、スタバに入る前に、宝くじ（連番１０枚）を買ってお財布に入れたことを思い出しました。取って返すと、女の子は、また上がってきた私を見て怪訝な顔。

「これね、さっき買ったとこなの。私のように運の悪い人が買ったんだから当らないかもしれないけど、もし当ったら、２人で半分こして！」とテーブルに置きました。

「当たりますよ！」と言いながら返そうとした女の子に、もう１度押し返すように渡すと、男の子の方が、「ハハハ！」と笑いながら、「判りました。頂きます。３億円ですね！」と。

ほんとに上品で綺麗な女の子と、爽やかなかっこいい男の子の、素敵なカップルでした。隣りで粗相をしたおばさんに、例え「可哀想」とくらいには思っても、そこまで手を貸してくれる人が居るでしょうか？　またおっちょこちょいをしちゃったけれど、とても清々しい気分になることが出来ました。

宝くじの番号は見てもいないので、当っても外れてもこちらには判りませんが、少しでも当ってくれますように。店員さんに、何も上げなかったのが悔やまれますが。