96講

「アブラハム（５）しもべの祈り」

創世記２４：１〜９
2003年5月25日

イサクとリベカ──旧約聖書の中のすばらしい見合い結婚のお話。アブラハム晩年の最大の祈りの課題は息子イサクの嫁さがしであった。

最年長のしもべに、生まれ故郷のカランに行かせる。今住んでいるカナンは神を知らない女性、罪に染まっている女性も多い。しかし、イサク自身を決してカランに行かせてはならないと言う。それは、出てきたところに戻る事になり、イサクがそこに住み着いてしまう可能性もあったからである。あくまで子孫の繁栄という主の約束を優先させるアブラハムの決意が見える。しもべは、主人アブラハムと誓いの祈りをして出かけた。

らくだ１０頭としもべの一行はナホルという町の井戸の端に腰をおろす。「私の主人アブラハムの神、主よ。きょう、私のためにどうか取り計らってください。私の主人アブラハムに恵みを施してください。」（創世記２４：１２）

さらにしもべは祈る。水を汲みに出てきた娘に、私に飲ませてくださいと言ったとき、「『お飲みください。私はあなたのらくだにも水を飲ませましょう』と言ったなら、その娘こそ、あなたがしもべイサクのために定めておられたのです。」（２４：１４）　健康でよく働き、親切で心優しく、よく気がつき、忍耐強い、そのような女性を求めて祈った。

何と、しもべの祈りはすぐに聞かれ、リベカが目の前に現れるのである。

感謝と喜びで満たされ、私を正しい道に導かれたと、しもべは「ひざまずき、主を礼拝した。」（２４：２６）　しかし、まだまだ祈りは続く。先ず兄ラバンに妹を嫁に出すことの承諾を得て、いよいよリベカ本人の意思の確認である。彼女は「この人と一緒に行くか」との問いに、すぐさま、「はい。まいります。」と答える。リベカはカナンに入り、夕暮れ近く、野でイサクと対面する。リベカはイサクの妻となり、イサクは彼女を愛した。

イサクの嫁とりという主の計画実現のためには、アブラハムのしもべの忍耐強い祈りと働きがあった。彼のささげた数々の具体的な祈りは、主がすべてを導いてくださるという強い信仰に基いていたのである。