97講

「イサク（１）２代目の信仰」

創世記２５：１９〜２１
2003年6月1日

一般に世の中の２代目は創始者の偉大さに隠れて、または創始者が甘やかしすぎて大成しないケースが多いと思われる。イスラエル創始者アブラハムの２代目はイサクの信仰はどうであったか。確かに創始者と３代目ヤコブの間にあって、目立たないし、聖書の記述も比較的少ない。しかし、「イサクから出る者が、あなたの子孫と呼ばれる。」（創世記２１：１２）と言われたほど重要な役割を果たした。

イサクとリベカの間には子どもが生まれなかった。２０年間妻のために祈って６０歳の時初めて与えられた。また、ききんに会ったとき、「あなたはこの地に滞在しなさい。」という主のことばに従って、穀物の豊富なエジプトへは行かなかった。しかし、行った先のペリシテ人の王アビメレクに、あまりにも美しい妻リベカを自分の妹だと偽ってしまう。父のたどった道と実によく似ている。良い面も悪い面も初代を受け継いでいるようである。

イサクに対して神は、「わたしは、あなたの子孫を空の星のように増し加え、あなたの子孫に、これらの国々をみな与えよう」（創世記２６：４）と約束される。「これはアブラハムがわたしの声に聞き従い、わたしを戒めと命令とおきてとおしえを守ったからである。」（２６：６）　親が偉大で神の声に徹底的に従ったから、子にその恵みが及ぶのである。

しかし、親の七光りだけではない。イサクも主へのゆるぎない信仰を持った。イサクに主の祝福が及び、収穫も財産も豊かになってくると、ペリシテ人は妬み、アブラハム時代に掘った井戸をことごとく塞いで、イサクを追い出してしまう。さらに追い出された土地でも井戸のことで争いが起こり、試練に遭う。しかし彼はいつも譲歩し、忍耐と寛容を持って対処する。ついにアビメレクはイサクに、「わたしたちは、主があなたとともにおられることを、はっきり見たのです。」（２６：２８）と言わしめ、平和の契約をすることになる。主への信仰に基く忍耐と寛容は、人と人との問題を解決する。