身長１８０ｃｍ、肩幅広く、色は真っ黒。飾り気なく、すっきりして、見た目は最高に素敵。包容力もあり、大好きだったのに…、お別れしなければならなくなりました。

１６年前に台所を改装した折、冷蔵庫も買い換えました。私の大好きな家電メーカー、Ｍ社（ブランド名は、Ｎ）が、当時、食器棚感覚で使える、奥行き４５ｃｍ（巾８０ｃｍ、高さ１８０ｃｍ）の冷蔵庫を売り出したので、すぐ飛びついたのです。

「奥行きが深いと、食品が奥に入ってしまって、取り出しにくく、その結果、忘れて腐らせてしまう。浅ければ、出し入れ簡単」と言う宣伝文句に共鳴し、これだ！と思ったのです。デザインもシンプルで、余計な飾りなどなく、容量もたっぷり。色も、台所のインテリアに合わせて、黒を選びました。望み通りの台所になり、大満足。

その後１度故障した際、Ｍ社の修理部門の人が来て、保障期間内の５年は過ぎていたのですが、モーターまで変えてくれたことは、昔、深夜日記に書きました。そして、心臓移殖された冷蔵庫は、その後また元気に人生を歩み始めたのです。

最近も息子に、
「まだこれを使ってるの？今の冷蔵庫は、消費電力も少ないよ」
と言われましたが、電気代が安くなると言っても、買い換える費用で元を取るまでに、何年もかかるでしょ？と全然気にしていませんでした。

昨年のある夜、台所から、虫の声がします。本気で、こおろぎでも居るのかしら？と思ったほど。実は、冷蔵庫のモーター音だったのです。その頃からモーターが、「虫の息」だったのでしょうね。でも、変な音は時々するものの、機械としては、今年６月に留守をするまでは正常でした。

帰京したら、夫が、冷蔵庫が冷えにくいんだよね、と言い出しました。ビールの温度で判ったようです。調べてみると、冷凍庫は正常。チルド室も正常。その下の冷蔵庫、野菜室、飲み物のボトル入れがちょっと冷えていないかな、と言う状態。

同じ食器棚サイズのを検索で調べてみました。あるにはあったのですが、消費電力は、４８０ｋｗｈとかで、昔のまま。何にも開発されていません！もー、それなら買い換える意味がないじゃない！（最近になって検索したら、この製品もＭ社のカタログから消えてしまいました！）

でも、冷凍庫が正常なんだから、完全に壊れた訳ではなし。霜がついているのでは？と見ると、案の定、冷凍庫の背面がバリバリ。で、霜取りをして、様子を見ていると…。

今度は、冷凍庫とチルド室が凍らず、冷蔵庫状態になってしまいました。つまり、全体が、「冷蔵庫」だけになってしまったのです。

大好きなんだから、また大手術､ということも考えましたが、もう充分な年数が経っているし、今のノンフロンやら省エネやらを考えると、新旧交代しか仕方がないでしょう。黒い冷蔵庫とは、いよいよお別れ。ほんとに私の理想通りのデザインと使い勝手でした。

明日、新しい冷蔵庫が届きます。いつものことながら念入りに検討した結果ですが、奥行きが深い（６０ｃｍあまり。これでも今は薄型！）ため、今までよりうんと出っ張るので、隣りの収納庫の観音開きのドアも、最後まで開けられません。色も、黒なんか、どのメーカーにもありませんでした。殆どＭ社でそろえてきた家電なのに、今度は適当なのがなく、とても残念。

前の恋人よりは、少し外見的には気に入らない点もあるけれど、やっぱり吟味して選んだ新しい恋人、知らなかった才能を持っているようです。大事にすることに致しましょう。