108講

「ヨセフ（４）神に遣わされた男」

創世記４５：１〜１５
2003年8月17日

世界を襲ったききんはイスラエルのカナンにも及んだ。ヤコブはベニヤミンを除く１０人の息子をエジプトに送る。ヨセフと兄弟たちの再会であったが、ヨセフのみ気がついた。兄弟たちが間者（スパイ）でないことを証明させるために、結局シメオンを監禁し、残りの者に食料を渡してカナンに帰らせる。

もう一度エジプトに食料をもらいに行くことになった時、ユダは「末弟のベニヤミンと一緒でなければ会わない」とエジプトの宰相（ヨセフ）が言ったことを思い出して「わたしが責任をとる」と、父ヤコブを説得し、連れていくことになる。ヨセフはベニヤミンと対面するが、なつかしさに感極まる。

ヨセフは簡単には自分の身を明かさない。かつて自分がそうであったように、今父に溺愛され特別扱いされているベニヤミンに対して兄弟たちが本当に愛を持っているかどうかを確かめたかった。ベニヤミンの袋に自分用の「銀の杯」をしのばせて仕組んだ罠にどういう態度をとるかを試みたのである。発見された時、ユダは決して弁解せず、ベニヤミンをかばい、「神がしもべども（自分たちのこと）の咎をあばかれたのです。（すべての者が）あなたの奴隷になりましょう。」（創世記４４：１８）と砕かれた心を見せた。

「ベニヤミンだけ残して他は帰れ」というヨセフの命令にユダは必死になって今までの出来事や父が悲しむことを話して懇願する。自分が身代わりになってもよいという告白を聞いて、遂にヨセフは劇的な身のあかしをする。「私は、あなたがたがエジプトに売った弟のヨセフです。今私をここに売ったことで心を痛めたり、怒ったりしてはなりません。神はいのちを救うために、あなたがたより先に、私を遣わしてくださったのです。」（４５：５）

創造主である神はこの世を支配され、個々の人生を導いておられる。人生の節々において神がご自分の計画を実現するために様々な手段を用いられる。ときには人間には理解しがたい奇跡を持って。ヨセフはまさにこの神の摂理を１００パーセント信じるものであった。エジプトに奴隷として売られたのも一族を救うために神に遣わされたと信じていた。偉大な信仰である。