110講

「ユダ族から出た獅子」

創世記４４：１８〜３４
2003年8月31日

ヤコブの4番目の息子ユダ。彼は他の兄弟に勝ってリーダーシップがあった。ヨセフが自分の身を明かすきっかけとなったのは、対面したときユダが父のことを思い、弟ベニヤミンの代わりに自分が犠牲となって残ることを兄弟の先に立って必死に告げたためである（創世記４４：１８〜３４）。しかし、彼はヨセフをエジプトに売ろうと提案をした張本人であった。また、長子エルの嫁タマルとそれと知らずに売春によって交わるという罪を犯してしまう（創世記３８章参照）。

しかし、主は罪人や失敗者をも赦して用いられる。ヤコブの遺言で、「ユダよ。あなたの父の子らはあなたを伏し拝む。」（４９：８）と語られた通り、ユダは12部族の先頭を行き、後に南部の重要な広い土地を与えられる。「ユダは獅子の子」（４９：９）と、百獣の王と比べられる力と地位を得る。

「王権はユダを離れず、統治者の杖はその足の間を離れることはない。」（４９：１０）　さらに、ユダ族の中からダビデ王が生まれ、ソロモン王へと続く。この地上の王国はその後分裂してしまい、一見ユダ族の栄華は失われたかに見える。しかし、脈々と続くその血筋は約900余年の後最高の光栄を見ることになる。天の王国につながっていくのである。

「ついにはシロが来て、国々の民は彼に従う。」（４９：１０）　「シロ」とはイエス・キリストのことである。救い主がダビデの家系から生まれることは神のご計画の中にあり、国々、すなわちユダヤ人のみならず全世界の民がこの方に従うと預言されているのである。