111講

「人の悪が神の善に」

創世記５０：１５〜２６
2003年9月7日

父ヤコブが亡くなったとき、ヨセフを除く11人の子どもたちは「ヨセフはわれわれを恨んで、われわれが彼に犯したすべての悪の仕返しをするかもしれない」（創世記５０：１５）と言った。17年前にすでにヨセフは彼らの罪を赦しているはずであるが、なかなか信じることができなかったのである。そこで、父が言ったことばとして「彼らのそむきと罪を赦してください」とヨセフに伝え、「私たちはあなたの奴隷です。」（５０：１８）と申し出た。

しかし、ヨセフは「恐れることはありません。どうして私が神の代わりでしょうか。」（５０：１９）と彼らを慰め、優しく語りかけた。神として仰がれてもおかしくないような富と権力を持っていても、それにおもねないで、兄弟のことを思い、実に謙虚に振舞った。ヨセフは１１０歳で死に、エジプトで葬られてミイラになり、大切に保存されて約４３０年後の出エジプトのときモーセが携えて行き（出エジプト１３：１９）、ヨシュアのとき約束どおりカナンのシェケムに納められる（ヨシュア記２４：３２）。

「あなたがたは、私に悪を計りましたが、神はそれを、良いことのための計らいとなさいました。それはきょうのようにして、多くの人々を生かしておくためでした。」（５０：２０）　人の悪を転じて善となす神の愛の深さを知る。悪を働いた者をも主は用いてご自分の計画を実現されるのである。

しかし、すべての悪が善に変えられるわけではない。悪が悪のまま、神のさばきを受けるケースが普通である。このヨセフと兄弟たちのように、悪と認め、赦しを乞う心を持ち、相手が謙遜かつ神の御旨に従う心を持っているとき、神は奇跡を起こされる。