113講

「わたしの宝」

出エジプト１９：１〜２０：３
2003年9月21日

ヤコブの家族70人はエジプトでおびただしく増えた。パロ（エジプト王）は彼らを恐れ、奴隷として強制労働させたが、遂に生まれて来た男の子をすべて殺そうとした。ここに最初のユダヤ人迫害が起きたのである。

このような時にモーセが生まれ、不思議な神の導きによって王室の一員として育てられる。ある時、自分がユダヤ人であることを知り、同胞が虐げられているのを見てエジプト人を殺してしまう。彼はエジプトから逃げ出してシナイの荒野ミデヤン人の地で４０年滞在する。８０歳の時主の声を聞き、エジプトに戻ってイスラエルの民を救い出すようにという使命を受ける。そして主の様々な奇跡に助けられてエジプトを脱出することに成功する。

エジプト脱出から3ヶ月目に主はモーセを通してイスラエルと契約をされる。
「今、もしあなたがたが、まことにわたしの声に聞き従い、わたしの契約を守るなら、あなたがたはすべての国々のなかにあって、わたしの宝となる。全世界はわたしのものであるから。」（出エジプト１９：５）　この契約（シナイ契約と呼ばれる）は神とイスラエルの民全体との相互契約であり、人間の側の責任も重くなっている。神は民を聖め、山を聖められた後、出エジプト記２０章からレビ記、民数記10章まで続く、いわゆる「律法」を民に与えられる。その最初に示されたのが十戒である。

「民はみな口をそろえて答えた。『私たちは主が仰せられたことを、みな行ないます。』」（１９：７）　神は、「わたしの契約を守るなら、、、、わたしの宝となる。」と仰せられた。「宝」とは「最も価値のある大切なもの」。イスラエルの民をそれほどまでに顧みられ、愛される主。しかし、イスラエルはこのあとすぐに神との約束を破ってしまうのである。それでも神は見放されなかった。

今は、イスラエルの民にだけではない。現代の私たちにも「あなたはわたしのもの、わたしの宝ですよ」と神は言ってくださる。それは私たち一人一人がキリストの血によって贖いだされたことを信じて告白したときである。