この夏、実家に滞在中、母に携帯メールを教えることにしました。その頃、まだＰＣが常時接続になっていなかったので、操作が多くて無理だろうし、個室に置いてあるので、病人の父が１日の大半を過ごす居間から離れていては、何かあったときに困ります。携帯なら、同じ部屋の中で出来ますから。

母の女学校時代の仲良しは、もうかなり前から携帯メールができ、以前から勧められていたのです。

先ず、メールができるように、電話でｉモードに申し込みをしました。私の携帯とは会社が違いますから、全くわかりません。マニュアルが見当たらないと言うので、近所のＤ社のお店に、私が教えてもらいに行きました（*余談１）。

いよいよ母に授業開始。ＰＣは使える父も、どれどれと見に来ましたが、ＰＣより面倒、と、途中から授業放棄！

母の方は、変換しながら文章を書くことは、案外早くできるようになりました。でも、機械操作が苦手で、何度教えても、なかなか手順が判りません。しかも電話とメールの区別がつかず、試験的にメールを送ると、来た途端に電話のように出なきゃと思うらしく、慌てふためくのが傑作でした。

「マニュアルの○○ページ！」と言っても、見ながらなら何とかできるのに、私が居るとめんどくさがって、つい聞きに来ます。お友達とも、メールで連絡できるようになり、「お嬢さんに感謝、感謝！」というお返事が来ていました。

そんな１０日ほどが経ち、私は帰京。携帯電話が鳴って出ると、母からと判っているのに、音楽が聞こえるだけで誰も出ません。メールを送るつもりで、操作を間違ったのでしょう。そんなことが度々。結局こちらから電話して教えてあげたり、ついでに近況を話したり。

そのうち、１〜２日に１回は、まともなメールが届くようになりました。父の体調、その日のおかず、敬老の日に贈った花が満開になったとか、やっと書けたら電池が切れたことなど、８２歳で初めて覚えたにしては上出来！こちらが送ったメールがそのまま返送されてきたりすると、練習している証拠、と良い風に解釈しています。

父が居間の椅子で昼寝をして目が覚めると、母が同じ部屋の食堂部分で、一生懸命メールを書いたり、読んで笑っている姿が目に付くようになったとか。「楽しそうだねって、パパ、ひがんでるのよ」って言っていました。

父は、常時接続に切り変えることの出来たＰＣ（*余談２）を、居間へ持ってきて欲しいと言い出したそうで、今度移動することに。ほんの一時期メールをしたことがありましたが、もう何年も途絶え、たまーに、ワープロ部分で手紙を作っては印刷する程度。メールは、帰省の際の私専用になっていましたが、居間に設置されたら、父にも東京からメールを送りましょう。

今回の私の滞在で、電脳社会に踏み込んだ両親（父は再開）です。今にもあの世に行ってしまいそうな夏の日々でしたが、また生きる気力が出たようです。



昭和３４年夏
母：計算すると３６歳になったかならないか。
信じられません。私：中１（１２歳）
入学式の写真があまりにもひどいため、
同じ年のマシなのを探してきました。
式に出られなかった母と。

*余談１：２０代らしき女の店員さんが、「この画面が目に入らぬか！」とばかりに、携帯をこちらに向けて、説明してくれました。お互いに座っていて、そんなに近くで見せられると、老眼の進んできた私には目が疲れます。距離を置くため、私が立ち上がると、彼女も同じように立ち上がる。じゃぁ、と座るとまた座る、と言うわけで、いたちごっこでした。理由を言えばよかったんですけどね。

*余談２：ＮＴＴの局内工事が２０分ほどで済むと言うので、機械音痴の私も安心していました。父の体調が急変したので、母が往診をお願いしようとしたら、「話し中だわ！」と。私がかけ直して、電話が使えなくなっていることに気づいたのです！　携帯からかけて、無事往診、入院となりましたが、病院とサーバーとの連絡を一手に引き受け、大慌てでした。

入院させて帰宅後、携帯で教えてもらいながら、今あるアダプターに差し込んである或る線を外して、壁のモジュラージャックに差し込めばよいことが判るまで、私１人で大奮闘！　それも、１本の線の両端を、壁のモジュラージャック２箇所に挿すだけで、電話機ともアダプターとも何にもつながっていない状態にしたら離れた居間にある電話が使えるなんて、こんな私に理解できるもんですか！　翌日、回線業者が来て、新しいアダプターとつないでくれるまでの措置でした。